気軽に見れて良いが‥。
「ゴールデンスランバー」(2009日)
ジャンルサスペンス・ジャンルコメディ
(あらすじ) 配送業に務める青年青柳は、2年前にアイドルの危機を救ったことでマスコミに取り上げられ一躍有名人となった。ある日、学生時代の友人・森田に呼び出される。街は地元出身の首相の凱旋パレードで大賑わいだった。そのパレードを横目に、青柳は森田に「お前、オズワルドにされるぞ」と警告された。その直後、パレードは爆破され、森田も自爆死した。現場の傍にいた青柳は首相暗殺の容疑者として警察に追われることになる。
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(レビュー) 伊坂幸太郎の同名ベストセラーを、中村義洋が監督・共同脚本で映画化した作品。尚、この原作・監督コンビは
「アヒルと鴨のコインロッカー」(2006日)、「フィッシュストーリー」(2009日)に続いて今回で3度目となる。
自分は「フィッシュ~」は未見だが、「アヒルと~」は見ている。結論から言うと「アヒルと~」に比べると今一つの出来だった。確かに、よく考えられたストーリーだとは思うが、所々の詰めが甘い。未だに謎めいた事件であるJFK暗殺、今作のタイトルにもなっているビートルズの曲「ゴールデンスランバー」の引用、往年のTV映画「逃亡者」をモティーフにしたかのようなサスペンス等、面白い素材が幾つかからみ合いながら上手く構成されているが、「アヒルの~」のような伏線回収によるカタルシス、キャラクターの内面に肉薄するような演出が薄みで物足りなかった。
そもそも、今回のテロ事件の犯人は謎のままだし、森田の行動の裏に一体何があったのかも明確にされない。青柳の逃走を助ける通り魔殺人事件の犯人キルオも、結局何がしたかったのかよく分からない。本編にさほど関係してくるわけではないので、無駄なエピソードのように思えてしまった。
演出面でも幾つか突っ込みたい所がある。クライマックスのテレビ中継のリアリティの無さ、大量に打ち上げられる花火のバカバカしさ、下水道に逃げ込んだ青柳をみすみす逃してしまう佐々木刑事の愚鈍さ等々。主に終盤に行くにつれて突っ込み所が増えていく。
本作はサスペンス・コメディである。だからと言って、ディティールを無視して良いという話ではない。漫然と見る分には楽しめるが、見終わった後に色々と疑問が残り、鑑賞の満足度としては物足りなかった。原作(未読)ではこうした様々な疑問点をちゃんと説明しているのだろうか?
唯一、エレベーターのシーンだけは見事な構成術だと思った。確かに取ってつけた感じがしなくもないが、流石に「アッ」と言わされた。
キャストでは、寡黙な刑事を演じた永島敏行、通り魔殺人犯キルオを演じた濱田岳が印象に残った。どちらも濃い演技で笑わせてくれる。
逆に、でんでんの起用は勿体ないと思った。そもそもこのキャラは全体のストーリーにそれほど関係がない。でんでんはアクの強い個性派俳優である。その彼を起用するなら、もう少し役柄的なことを考えて欲しかった。