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ローラ殺人事件

刑事が殺人事件に取り込まれていく異色のロマンス・サスペンス。
ローラ殺人事件<2枚組特別編> [DVD]
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「ローラ殺人事件」(1944米)星3
ジャンルサスペンス・ジャンルロマンス
(あらすじ)
 有名な女性デザイナー、ローラ・ハントが、何者かに顔面を撃たれて殺される。事件を担当したマクファーソン刑事は、彼女と親交が深かったコラムニストのウォルドー、婚約者のカーペンター、二人から話を聞く。ローラを挟んで二人は対立する関係にあった。マクファーソンは痴情のもつれからローラが殺されたのではないか、と睨むのだが‥。

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(レビュー)
 ある殺人事件を捜査する刑事が、事件の被害者である女性に惹かれながら、意外な真相に辿り着いていくサスペンス作品。

 この作品はプロットが中々よく出来ていると思った。何と言っても、中盤の展開に驚かされた。ここでマクファーソンの捜査は大きな転換点を迎え、以後、彼の推理は事件の真相へ向かって急迫していく。ドラマの中盤で訪れる、この”どんでん返し”は作品全体を大いに引き締めており、最後まで面白く見ることが出来た。

 ただ、難を言えば前半の展開が凡庸という気がした。マクファーソンがローラ殺害の容疑者として、彼女と関係があった二人の男たち、ウォルドーとカーペンターを聴取するのだが、ここが平板である。いわゆる回想でローラとの出会いなどが説明されるのだが、これでは何だか味気ない。例えば、小道具などを使いながら生前の様子をさりげなく紹介すれば、もっとミステリアスで面白い前半部になっていただろう。ベラベラと言葉で喋らせてしまっては、サスペンスの面白味が損なわれてしまう。

 もっとも、そうは言っても、この映画は会話のテンポが良いので決して退屈するということはない。ウィットに富んだユーモアもあり、会話劇自体は中々よく考えられていると思った。

 今作の白眉は、先述したようにやはり中盤である。まさかの展開が登場する。コレは見ているこちらの事件に対する見解をガラリと変える衝撃的なものだった。
 加えて、この中盤のシーンでは、マクファーソンのローラに対する恋情も明確に示される。彼女の肖像画を眺めるシーンで、彼の恋心がはっきりと伝わってきた。これも秀逸な演出だと思った。

 更に、今作は小道具の使い方も中々上手い。
 例えば、先述した肖像画や、今回の事件のカギを握る柱時計、そしてラジオといった物が効果的にサスペンスを盛り上げている。特に、ラストの柱時計にはニヤリとさせられた。

 監督はO・プレミンジャー。このブログで以前取り上げた「野望の系列」(1961米)も彼の監督作である。主にサスペンスを得意とする作家だが、一つのジャンルに捉われることなく様々な佳作を撮り上げた名匠である。今回もマクファーソンの視座に徹しながら謎解きの面白さを十分に引き出しつつ、上手くロマンスドラマとして昇華している。軽快な演出捌きにも上手さを感じた。

 キャストでは若きV・プライスの登場が嬉しい。彼は今作ではローラ殺害の嫌疑をかけられる婚約者カーペンターを演じている。V・プライスと言えば、後にホラー映画界のタレントになっていくが、その彼がここでは爽やかな青年役を演じていて初々しい。
[ 2015/06/22 00:19 ] ジャンルサスペンス | TB(0) | CM(0)

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