女囚物の元祖!
J.V.D. (2003-03-14)
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「残酷女刑務所」(1971米)
ジャンルアクション
(あらすじ) 南米の女囚刑務所に夫を殺害したコリアが収監される。彼女が入った部屋には、革命軍の指導者の愛人ボディーン、赤ん坊を殺したハラド、元売春婦のグリーア等がいた。ある日、ボディーンが厳しい拷問を受けて死に目に会う。看守長のルシアンは血も涙もない冷血女で、たびたび囚人たちに、こうした拷問を加えてきた。堪りかねたボーディンたちは脱走を試みるのだが‥。
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(レビュー) いわゆる”女囚物”の元祖と言われている作品。
製作がB級映画の帝王R・コーマンというだけあって、エロとバイオレンスを売りにした見世物映画としてまずまずの出来である。作り自体は結構チープだが、元祖と言われるだけあって、その後の女囚物のお約束が全て入っているあたりに感心させられた。
まず冒頭、収監されたコリアが受ける身体検査からして、この手の女囚物のお約束だ。全裸にされて股を開かされ股間に指を突っ込まれる。何か隠し持ってないかと検査をされるのだ。これが男であれば尻の穴になるだろうが、女の場合は女性器‥というわけである。看守は体の隅々まで検査をする。
続いて描かれるコリアに対する同室の先輩女囚たちの虐め。いわゆる”かわいがり”というヤツも定番ネタである。
更に、冷酷な看守長ルシアンによる拷問シーンはビザール感タップリな責めが繰り広げられ、女囚物には無くてはならない”見せ場”となっている。鞭打ち、電気責め、挙句の果てには毒蛇を這わせたり‥。様々なS気タップリな責めが登場してくる。
極めつけは、中盤の屋外でのキャットファイトである。互いに快く思っていない囚人同士が喧嘩をするのだが、まさかの泥レスである。低俗と一蹴されても仕方がないが、やはり男としてはこういう”見世物”には燃えてしまう。
そんなわけでエロとバイオレンスに関しては充実した内容であり、尚且つ後の女囚物の定番がすべからく抑えられているという点で中々の快作に仕上がっているように思う。
尚、囚人同士の人間模様も少しだけ描かれている。但し、美人が揃いすぎなせいでキャラクターが没個性的で、当初は誰が誰だか判別しにくかった。中盤からコリアとハラド、グリーアの関係を中心にしたドラマに突入し、ここでようやく明確な人物関係が浮き上がってくる次第である。こうした”キャラ立て”はもっと序盤に出してもらいたかった。
演出は安穏としており、今見ると少し物足りないかもしれない。ただし、所々に配されるユーモアは中々面白い物があり、例えば刑務所に出入りする運送業者の男たちのダメさ加減には笑わされた。安直にハーレムを期待してしまう単細胞なところが笑える。また、終盤のブリーフ姿で逃げ惑う所、酒好きな看守とのやり取りなども楽しく見れた。
キャストでは、唯一の黒人女性ということもありグリーアを演じたパム・グリアが印象に残った。彼女は今作で主題歌も担当しており、クレジットでは上から3番目になっているが囚人たちの中では一番個性を発揮していたように思う。
ちなみに、彼女は前年の
「ワイルド・パーティー」(1970米)で映画初出演を果たしている。しかし、その時にはまだ端役で目立たぬ存在だった。それがここでは画面を席巻するほどの存在感を見せている。彼女は、今作の後に主演した「コフィー」(1973米)で一躍スターダムへのし上がっていく。
パム・グリアと言えばQ・タランティーノ監督の「ジャッキー・ブラウン」(1997米)で知ったファンも多いだろう。今作を見るとその出自を確認することが出来るので、ファンなら押さえておきたい1本だと思う。未見の方はぜひ!