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インサイド・ヘッド

こういうアイディアを出せるピクサーはやっぱりスゴイ!
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「インサイド・ヘッド」(2015米)star4.gif
ジャンルアニメ・ジャンルファンタジー・ジャンルアクション
(あらすじ)
 11歳の少女ライリーの頭の中にはヨロコビ、イカリ、ムカムカ、ビビリ、カナシミの5つの感情が存在する。彼らは司令室に集まり、リーダーのヨロコビを中心に、いつもライリーが幸せでいられるように奮闘していた。そんなある日、父の仕事の都合で引っ越しすることになる。環境の変化に戸惑い、ライリーの頭の中でトラブルが発生する。ヨロコビとカナシミが司令室の外に弾き飛ばされてしまい、そのせいでライリーの感情も不安定になっていく。

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(レビュー)
 少女の頭の中に存在する擬人化した”感情たち”が大活躍していくディズニー・ピクサー製作のファンタジー・アニメ。

 通俗的な成長ドラマを、”感情”という本来目に見えないキャラクターで見せきったアイディアが素晴らしい。ハリウッドはアイディア不足とよく言われるが、まだまだこんなに楽しくて野心に満ち溢れたアイディアがあるではないか。改めてピクサーの目の付け所と先進性に感嘆させられる。

 物語は、ライリーの現実ドラマと並行する形で、彼女の脳内で行われる感情たちのドラマが描かれていく。正直、現実の方のドラマはよくある話で取り立てて新味は感じられなかった。父の仕事の都合で引っ越しすることになったライリーは、環境の変化に戸惑い塞ぎ込んでしまう。その不安と孤独。そして、彼女を見守る両親の愛が描かれている。安定感はあるが、これだけではドラマとしては食い足りない。最後も予想通りのオチに収まり余り面白味は感じられなかった。

 ただ、今作のドラマの本文はそこではない。孤独と不安に陥ったライリーに再び笑顔を取り戻させるべく”感情たち”が奮闘する姿。そこがメインのドラマとなっている。

 ライリーの頭の中は、ヨロコビ、イカリ、ムカムカ、ビビリ、カナシミという5つの擬人化した感情たちが存在している。彼らは過去の記憶の保管をしたり、眠っている時に見る夢を管理したりしながら、ライリーの日々をよりハッピーな物にしようと様々な仕事をこなしている。
 但し、5人の中でただ一人、カナシミだけは負の感情が渦巻いていてトラブルを起こしてしまう。例えば、楽しい思い出を悲しく変えてしまったり、ネガティブな思考に変えてしまったり等々。一体、カナシミという感情には何の意味があるのか?それが後半の物語のキーとなっていく。

 しかして、前述したように、ドラマは収まる所にきちんと収まるのだが、実はこれは非常に普遍的なことを言っているような気がする。数多ある成長ドラマにおけるテーマ。つまり、人は現実の悲しみを知ることで大人へと成長していく‥ということを語っているように思う。当たり前のことを当たり前に言っているだけなのだが、擬人化された感情たちが起こすドラマによって語られると妙に納得させられる。おそらく、ライリーの現実のドラマだけで語られていたらここまでの感動を得られなかっただろう。感情たちの行動で表現されているから新鮮な思いで受け止めることが出来るのだと思う。

 映像はさすがにピクサーだけあって全編通してクオリティが高い。頭の中の世界は、遊び心に溢れた様々なアイディアで表現されていて、まるで遊園地のようである。

 また、”思い出”を目に見えるボールとして表現したアイディアも素晴らしかった。ボールの色はヨロコビは黄色、イカリは赤色、カナシミは青色といった具合に明確に色分けされていて、実に鮮やかである。そして、この色彩識別がラストの”ある演出”で上手く効いてくる。

 また、ヨロコビとカナシミが司令室に戻る途中で出会う様々なキャラクター、造形物も一々個性的で楽しかった。どこか懐かしい感じのする童話の世界、「不思議の国のアリス」の世界のようである。

 キャラクターで言えば、ライリーが幼い頃に頭の中で作り出した空想の友達”ビンボン”が秀逸だった。個人的には今一馴染めない造形なのだが、彼はクライマックスで素晴らしい働きを見せてくれる。それを目にした時、自分の涙腺は自然と緩んでしまった。当のライリーはもうとっくに彼のことなど忘れているのに‥。それなのに彼は身を犠牲にして彼女を救う。その自己犠牲愛に泣かされてしまったのである。こうした細やかなビターテイストをきちんと持ち込むあたり、ピクサーは毎度のことながら上手い。

 また、ヨロコビたちが途中でシュールなアート・アニメになってしまうシーンも面白かった。ピクサー・アニメの中でもこうしたソリッドなギャグは珍しいのではないだろうか?

 今作で唯一欠点があるとすれば、それはドラマの導入だろうか。ヨロコビとカナシミといった”感情たち”には個々の感情があり、映画を見始めてちょっと混乱してしまった。彼らはその感情に沿った行動をするわけではなく、ヨロコビでも悲しみに暮れることがあるし、イカリでも喜ぶことがある。最初に映画を見始めて、これはひょっとすると”感情たち”のキャラクターが理路整然とせず収拾がつかなくなるのではないか‥と不安に思った。そして、映画が見終わった後に振り返ってみても、ビビリとムカムカについては、その個性が他の”感情たち”に比べると弱い気がした。彼らの見せ場がもう少し用意されていれば、このあたりは解消されたように思う。

 尚、”感情たち”はライリーの頭の中だけでなく、誰の頭の中にも存在している。劇中では、パパの頭の中ではイカリがリーダーで、ママの頭の中ではカナシミがリーダーだった。おそらく誰がリーダーかによって、その人の個性が決まってくるのだろう。自分の頭の中では誰がリーダーだろう‥?そんなことをちょっと考えてしまった。こういう観客への”問いかけ”をさりげなく提示する所がピクサー・アニメの心憎い所だ。子供のみならず大人の鑑賞にも十分耐え得る深みのある作品である。

 同時上映は火山の淡い恋心を描いた短編アニメ「南の島のラブソング」である。こちらもかなり奇抜なアイディアのアニメだった。但し、ディズニー短編にしては今一つ可愛らしさが感じられないのが残念だった。火山が相手では感情移入するにもハードルが高すぎる。
[ 2015/07/25 01:29 ] ジャンルアニメ | TB(0) | CM(0)

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