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「マネーボール」(2011米)星3
ジャンル人間ドラマ・ジャンルスポーツ
(あらすじ)
 MLBの弱小球団アスレチックスのゼネラルマネージャー、ビリーは、長らく低迷するチームの再建に取り掛かるも財政難にあえぎ選手の補強すらままならない状態にあった。そんなある日、インディアンズとのトレード交渉の場で、名門イェール大の経済学部を卒業したピーターと出会う。全ての選手の能力を分析し冷静にチームの強化を実行するピーターの手腕に目を付けたビリーは、彼を引き抜いて自らの助手に抜擢する。二人はアスレチックスの補強を開始していくのだが‥。

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(レビュー)
 MLBのオークランド・アスレチックスを革新的球団運営で常勝チームへと作りかえた実在のゼネラルマネージャー、ビリー・ビーンの成功を、B・ピット製作・主演で描いた実録ドラマ。同名のノンフィクション小説の映画化である。

 MLBでは、猛打剛速球で活躍するプレイヤーが尊重される傾向にある。マスクが良いとか、派手なパフォーマンスで観客を魅了するといったタレント性も重要視されている。しかし、金に物を言わせて人気選手を買い漁るのが野球ではないと思う。むしろ、チームの編成をする上では、選手個々人ののセールス・ポイントに目を向けて、状況に合わせて起用するのが最も効率的であろう。だから、日本のように小技を効かせたスモール・ベースボールはワールドカップで優勝を果たしたのだと思う。

 こうした結果があったからだろう。最近ではMLBでも従来の考え方は大分改まってきているように思う。現に今回の映画「マネーボール」で描かれているアスレチックスの大躍進は良い例である。安い年棒で取った個性的な選手でこしらえたアスレチックスが、球界のタレント集団とまで呼ばたヤンキースに勝ってしまったのだから、これは旧来のMLBのやり方は間違っていたという事を多くの人に気付かせたに違いない

 ただ、この映画自体は、そのあたりのことについては詳しく描かれていない。各球団から引き抜いた補強選手がどのくらいチームの勝利に貢献したのか分からないし、試合シーンは全てダイジェストで見せているため、ビリーたちの戦略がいかにして成功を収めたのか。頭では理解できても、説得力という点で今一つ乏しい。この映画のマイナス部分はそこである。いかにして弱小球団が常勝チームになったのか‥ということが具体的に描かれていないのだ。

 とはいえ、ビリーの執念や葛藤はよく伝わってきたし、おそらく映画のメイン・テーマも彼の人生論、野球観その物なのだろう。私生活における娘との関係、ピーターとの友情もよく伝わってきたし、ラスト手前のシーンにはしみじみとさせられた。モニターを見つめるビリーとピーターに友情が噛みしめられる。

 監督はベネット・ミラー。軽快な演出が2時間以上の上映時間をまったく感じさせない。実に手堅くまとめていると思った。

 脚本はA・キーソンとS・ザイリアンの共同。A・キーソンは前作「ソーシャル・ネットワーク」(2010米)における卓越した会話劇、緻密な演出(このあたりは監督したD・フィンチャーの力量によるところが大きいと思うが)が大いに評価されたが、今回も仔細にこだわったシナリオが見事である。ややB・ピットの”俺様”演技が鼻に付くが、そうした所も含めてキャストの特徴を上手く取り込みながらシナリオに反映されていると思った。クライマックスの連勝記録がかかった試合展開も、実話とはいえ、ほとんど劇画的なドラマチックさで、このあたりの盛り上げ方も上手い。また、皮肉的な締めくくり方には歯ごたえも感じられた。

 キャストでは、ピーター役を演じたJ・ヒルの独特の風貌が印象に残った。元々はコメディ俳優だが、今回はほぼシリアスな面持ちを貫き通し新境地を開いている。また、アスレチックスの監督を演じたP・S・ホフマンも印象に残った。
[ 2015/09/19 14:15 ] ジャンル人間ドラマ | TB(0) | CM(0)

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