長ったらしいサブタイトルである。
J.V.D. (2002-04-05)
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「マイドク/いかにしてマイケルはドクター・ハウエルと改造軍団に頭蓋骨病院で戦いに挑んだか」(1983ニュージーランド)
ジャンルホラー・ジャンルアクション
(あらすじ) 少年マイケルは、父と共に医療研究をしていたドクター・ハウエルの策略によって両親を殺害され精神病院に収監された。7年後、退院したマイケルは友人たちと一緒に小島にバカンスに出かけた。そこで偶然ハウエルを目撃する。彼はその島で恐ろしい人体実験を繰り返していた。
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(レビュー) 随分と長い副題がついているが、原題は「DEATH WARMED UP」である。直訳すれば「死の準備」といった所か。何故にこのような長ったらしい副題がついたのか理解に苦しむが、おそらくはS・キューブリック監督の「博士の異常な愛情/または私はいかにして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか」(1964米英)に対抗して付けたのだろう。しかし、だからと言って、本作がかの傑作に並ぶほどの作品かと言えば完全にノーである。
はっきり言って演出、シナリオ共に稚拙で決して褒められた出来ではない。B級映画として見る分にはそれ相応の満足は得られるかもしれないが、真面目に見てしまうと突っ込み所満載でゲンナリさせられるだろう。
例えば冒頭。何故マイケルは走っているのか?何故セクシーなホモホモしいシャワーシーンがあるのか?脈絡なく唐突に挿入されるベッド・シーンはサービスのつもりなのか?マイケルの友人の一人がレオタード姿なのはどういうつもりなのか?等々。書いたらきりがないくらい構成、設定、演出が”謎”である。
本作で唯一見応えを感じたのは、ドクター・ハウエルの手術シーンである。ここだけは生々しい特殊メイクで見応えを感じた。少しグロいので耐性の無い人は見ない方が良いだろう。
それと、クライマックスの頭蓋骨病院での戦いも、チープではあるが中々頑張っていると思った。さながら”走るゾンビ”映画のごとき恐怖で描かれている。また、その後に続く人を食った想定外のオチも、個人的には面白かった。中にはこのオチを見てポカーンとしてしまう人もいるだろうが、そもそもコレに突っ込みを入れていたら今作は見れない。何しろ最初から行き当りばったりの展開が続くのだから、当然ラストだって行き当りばったりになる筈である。
また、ニュージーランド映画という事で、同時期に製作されたオーストラリア映画「マッドマックス」(1979豪)の影響が強く感じられた。マイケルが離島に向かうフェリーの中で喧嘩になるバイカーたちの姿が完全に「マッドマックス」に出てきた暴走族集団のそれと一緒である。そして、その後には当然カーチェイス・シーンとなる。しかし、悲しいかな、本家「マッドマックス」の迫力には遠く及ばず実に凡庸である。
尚、この頃のオーストラリア映画は世界マーケットを目指して活気づいていた頃であり、先述の「マッドマックス」のJ・ミラー監督や、「レイザーバック」(1984豪)でデビューしたラッセル・マルケイ監督等、地元資本で映画を撮った後に渡米して夫々に成功を収めていった。今作の監督も右に倣えで渡米し、数本のホラー映画を撮った(未見)。しかし、その後は続かず、結局目が出ずに終わってしまった。今回の作品を見ればそれも納得である。