迫力のある映像体験。これに尽きる作品。
「ジュラシック・ワールド」(2015米)
ジャンルSF・ジャンルアクション
(あらすじ) かつて多くの犠牲者を出した恐竜のテーマ・パーク、ジュラシック・パークは、今やジュラシック・ワール ドと名前を変えて新しく生まれ変わり、多くの観光客を集めていた。施設の監督官クレアの甥で高校生のザックと小学生のグレイ兄弟が来園する。しかし多忙なクレアは時間がなく、彼らの相手を部下に任せることにした。折しもパークでは、Tレックスよりも巨大で凶暴な新種の恐竜インドミナス・レックスを新たな目玉アトラクションとして準備中だった。獰猛なヴェロキラトプルさえ手なずけてしまう動物行動学の専門家オーウェンは、そんなクレアの経営方針に警鐘を鳴らすのだが…。
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(レビュー) S・スピルバーグ監督の大ヒット作「ジュラシック・パーク」(1993米)から約20年という時を経て製作された続編である。
かつて「ジュラシック・パーク」に胸躍らせた子供たちも、今ではすっかりいい大人だろう。本作は彼らの次の世代をターゲットにしながら、親子二世代に渡って楽しめる究極のエンタテインメント作品になっている。
尚、本作は現時点で今年の全米興行収入第一位に輝いている。世界的に見ても、あの
「アバター」(2009米)、「タイタニック」(1997米)に次ぐ歴代3位にランクインしている。
ただ、確かに映像は凄いのだが、そこまで大ヒットを飛ばしている割には話が余り変わり映えしない。第1作のオマージュと思しきシーンも出てくるので、多分製作サイドは敢えて、これまでの話をベースに敷いた作りにしているのだろう。
もっとも、話などどうでも良い…と頭を切り替えて見れば、童心に帰って楽しめる映画になっている。最新の映像技術で作り上げられた恐竜はよりリアルに、よりパワフルに進化しており、エンタテインメントとしては十分満足できる内容である。それほど過剰な残酷描写がないG指定なのでファミリー・ムービーとしても安心して見れる。
ユーモアが所々に散りばめられているのも良かった。第1作は完全にスピルバーグらしいホラータッチの映画になっていたが、今回は怖がらせる演出はほどほどにして、ユーモアを各所に配している。結果、老若男女に受け入れやすいマイルドな作品となっている。
これほどの興行成績を上げたのは、このように万人に受け入れやすい作りを徹底した製作サイドの勝利以外の何物でもないだろう。歴代3位というのも納得である。
今回の敵は遺伝子操作で作られた新種インドミナス・レックスである。少しTレックスに似ている気もしたが、その強さは実際に映画を見ているとかなりの説得力が感じられた。様々な動物の遺伝子が組み込まれており、人間を騙す程度の知能も持っている。この絶対的な脅威をどうやって倒すのか‥というのが本作のクライマックスになるのであるが、毒には毒を持って制すという思考が、東宝特撮映画を見てきたオジサン世代からするとワクワクしてしまう。大迫力のアクション・シーンは大画面でこそ味わってほしい。テレビサイズでは間違いなく勿体ない。
残念なのはラストである。もう少しやりようがあったと思うが、いかんせんパーク全体が最悪の状況に陥ってしまったため、ここまで来ると綺麗にまとめようがない。かなり強引である。
キャストでは、
「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」(2014米)で一躍トップスターに登り詰めたクリス・プラットがヒーロー然とした活躍を見せている。完全に”役得”と言えるが、「ガーディアンズ~」に続き本作もシリーズ化も決定している。暫くは彼のトップスターの座は安泰だろう。
尚、今回は4DMXでの鑑賞だった。椅子の振動やミストの演出も加わり、アトラクション的な醍醐味を十二分に堪能できた。逆に、3Dとしての迫力はそれほど実感できなかった。このあたりは2Dからの変換なので仕方ないかもしれない。