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X-MEN:ファースト・ジェネレーション

アメコミ人気シリーズの前日談を描いたSF大作。
X-MEN:ファースト・ジェネレーション [Blu-ray]
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン (2014-05-16)
売り上げランキング: 17,397

「X-MEN:ファースト・ジェネレーション」(2011米)star4.gif
ジャンルSF・ジャンルアクション
(あらすじ)
 第二次世界大戦下のポーランド。強制収容所でユダヤ人の少年エリックが、磁力を操り金属を意のままに動かす特殊能力を発動させた。同じ頃、アメリカでは少年チャールズが誰にでも変身できる特殊能力を持った少女レイブンと運命的な出会いを果たす。チャールズ自身もテレパシー能力を持っており、2人は同じ異端者同士、惹かれ合っていく。それから20年後の冷戦時代。CIAのモイラ捜査官は政府の内偵調査中にセバスチャン率いるミュータント集団の存在を突き止める。彼女はミュータントの研究をしているチャールズの元を訪ねるのだが‥。

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(レビュー)
 MARVELの人気コミック「X-MEN」を最新鋭のVFX技術で映像化したアクション大作。本作は全3部作の第1弾である。

 尚、「X-MEN」はこれ以前に3部作で映画化されている。今回のシリーズはその前日談に当たる内容となっている。「X-MEN」の主役ウルヴァリンを率いるプロフェッサーX(チャールズ)と、彼の宿敵であるマグニートー(エリック)の若き日にスポットを当てて作られた、いわゆるビギニング編のようなスタンスになっている。「X-MEN」のファンであれば二人の出会いを興味深く見れるだろう。

 監督・共同脚本は「キック・アス」(2010米)「キングスマン」(2014米)を撮ったM・ヴォーン。スタイリッシュなアクション演出には定評のある監督だけに、今回も大変上手く作られていると思った。
 特に、クライマックスとなる海上での戦闘シーンは目を見張る出来栄えで、画面にグイグイと引き込まれた。チャールズ達が率いる正義のミュータントとセバスチャン率いる悪のミュータントがスピード感溢れる空中戦を繰り広げており、実に新鮮なアクションシーンだった。

 また、ミュータントの特殊能力も個性的に発揮されており、一人一人の活躍場面に手抜かり感がないのも好感が持てる。普通であればこれだけの大所帯になると名もなく散っていくキャラがいてもおかしくないのだが、本作にはそうした”捨てキャラ”が一切存在しない。全員が生きたキャラとして丁寧に造形されており、これも映像クオリティの成せる技だろう。

 一方、ストーリーの方も中々良く出来ていると思った。本作の原案を担当したのは「ユージアル・サスペクツ」(1995米)の監督で一躍注目を浴びたB・シンガーである。その後、前シリーズの「X-メン」(2000米)と「X-MEN2」(2003米)の監督に抜擢されており、何かとこのシリーズとは縁深い人物である。だからと言うわけでもないが、彼の思い入れも相当強かったのではないだろうか。
 何と言っても、プロフェッサーX(チャールズ)とマグニートー(エリック)という、言わばシリーズの肝要を担うキャラの前日談を描くというアイディアが秀逸である。普通であれば既存のキャラだけで作りたがるところを敢えて外してきた大胆さ。そして、「X-MEN」の世界観をより深く掘り下げた手腕は見事である。今回、原案者である彼の功績は相当大きいように思う。

 ただし、チャールズとエリックの友情→決別のドラマには物申したい。はっきり言って、かなり乱暴な描かれ方になってしまっている。クライマックスにおけるエリックの心理変化が唐突に思えた。ここはもう1クッションインパクトのあるエピソードが欲しかったような気がする。

 また、ここでの米ソ艦隊の共同攻撃も安易に写った。本作は1960年代の冷戦時代を背景にした物語である。実際の歴史の中で展開されるストーリーは非常に興味深く見れ、このアイディア自体は素晴らしいと思った。しかし、それだけに最後の詰めとも言えるリアリティは大切にしてほしかった。実際の歴史を考えてみても、敵対していた両国がこんなにアッサリと共闘するのはありえないと思えてしまう。展開をもう少し練り込んでほしかった。

 本作には、チャールズとエリックの友情ドラマ以外に、もう一つ重要なドラマが存在する。それはレイブンを中心とした恋愛ドラマである。
 彼女は誰にでも姿を変えられるが、真の姿は青い肌の異形のミュータントである。それゆえ、自身の姿にコンプレックスを持っている。その苦しみを癒してくれるのがチャールズだった。やがて彼女は大人に成長するにつれて、チャールズを恋愛対象として見ていくようになる。しかし、彼にその思いは伝わらない。こうして2人の心は次第に離れて行ってしまう。
 そんな時に現れたのがチャールズの盟友エリックである。彼はありのままの自分を受け入れてくれた。彼女の心は次第にチャールズからエリックの方へと移って行く。この揺れる恋心は本作のもう一つの見所である。

 更に、ここにもう一人のミュータント、ハンクが割って入ることで、このドラマはより複雑に展開されていくようになる。ハンクも青い姿をした異形のミュータントで、自分と同じように容姿にコンプレックスを持っているレイブンに好意を寄せていくようになる。しかし、その想いは伝わらない。彼のやむに已まれぬ恋心も実に切なかった。

 このように、ミュータント同士の激しい戦いばかりが取り上げられる本作であるが、レイブンを中心とした恋愛ドラマも中々の見応えがあり感心させられた。
 いわゆるアクション大作で、ここまで恋愛ドラマを上手く絡めた作品は他に余り例がないのではないだろうか。これだけでも今作は一定の味わいを持った作品となっている。

 キャストでは、J・マカヴォイとM・ファスベンダーが上手くハマっていた。未来のプロフェッサーXとマグニートーのイメージがあるので、どうなるかと心配したが、中々どうして。これなら”あり”と思えてくる。禿げネタを自虐的に連発するマカヴォイは、確かに年を取って禿げれば後年を演じるP・スチュワートに似るかもしれない‥などと妙に納得してしまった。
[ 2015/11/14 01:00 ] ジャンルアクション | TB(0) | CM(0)

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