とにかく”走りまくる”映画!痛快の一言!
クリエイティブアクザ (2001-03-23)
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「バニシングIN TURBO」(1976米)
ジャンルアクション
(あらすじ) 政界を目指す父の命令で金持ちの息子と結婚させられそうになったポーラは、父のロールス・ロイスを盗んで恋人サムと駆け落ちした。父は二人を追いかけ、サムの親もそれに続いた。ラジオではこの逃避行を実況中継し、スピード違反を取り締まる警官、説法を邪魔されたインチキ宣教師、賞金目当ての人々がポーラたちを追いかけはじめる。
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(レビュー) 若い男女の逃避行を描いたカー・アクション・ムービー。
R・コーマン下で製作された低予算のB級映画だが、中々どうして。最後までテンションが落ちることなく面白く見ることが出来た。
監督はハリウッドのヒットメーカー、R・ハワード。本作は氏の長編処女作である。
ドラマ自体は大したことはないのだが、全編カー・アクションを見せることに主眼を置いた作りはエンタテインメントとして実に潔い。途中から参戦してくる個性的なサブキャラも面白く、正に”演出の技”で持って行ったような作品である。
悪行を積み重ねるインチキ宣教師。二人の逃避行を面白半分に追いかけるラジオDJ。改造車専門の凸凹コンビのエンジニア。陽気なヒッピー集団。雇われマフィア等々。マンガチックに造形されたサブキャラが次々と登場して、この”追いかけっこ”はスケールアップしていく。エンタメに特化したこの潔さはもちろんコーマン印でもあるのだが、それ以上にそつなくまとめたR・ハワードの手腕も見事である。クライマックスの大団円までサービス精神タップリで、見てて単純の楽しかった。
アクションシーンとしての見せ場もふんだんに盛り込まれている。よくよく考えてみると結構危険なスタントもしていて、予算の少ない中でかなり頑張っていると思った。
例えば、車とヘリのチェイス・シーンはこの手のカー・アクション映画ではお馴染みだが、映像を見るとかなりギリギリまで接近していることが分かる。これはもちろん編集の成せる技でもあるのだが、CGがなかった時代にここまで過激なアクションを実行したことは脅威的である。
また、接近してくる車を正面から撮影するカットがあるが、あれなどは完全にカメラのスレスレを通っていることが分かる。
本作の編集はジョー・ダンテ。彼もハワードと同じように次代のハリウッドのヒットメーカーになっていくが、その彼にこれほどの編集能力ががあるとは思わなかった。やはり編集が上手い人は演出力にも長けているのであろうか?
主演は監督も務めるR・ハワード。彼は監督をしながら映画俳優もしていたが、演技自体はそれほど個性的というわけではない。しかし、今回の役のようにヒロインに引っ張られるタイプの男をやる分には合っているように思った。
一方、ヒロイン役にはもう少し花のある女優が欲しかった。決して悪くはないのだが、金持ちのお嬢様という割には今一つ平凡だったのが残念である。