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サイド・バイ・サイド フィルムからデジタル・シネマへ

デジタル全盛時代に何を思うか‥?
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「サイド・バイ・サイド フィルムからデジタル・シネマへ」(2012米)星3
ジャンルドキュメンタリー
(あらすじ)
 映画製作のデジタル化の波を様々な映画人たちによる証言で綴ったドキュメンタリー。

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(レビュー)
 今や映画もフィルムからデジタル・フィルムの時代に変わりつつある。この流れは誰にも止められないだろう。何故ならそちらの方が便利であるし扱いやすいからである。本作はその潮流を様々な映画人たちの証言によって紹介したドキュメンタリー映画である。

 インタビュアーは俳優のキアヌ・リーヴス。彼は本作で製作も務めている。かの「マトリックス」(1999米)の主役がこの題材でホストを務めるというのが何とも皮肉的で面白い。

 登場してくる著名人も多岐にわたり、映画監督から撮影監督、俳優、編集者等、実に多彩である。フィルムorデジタル、どちらがいいのか?という所で意見が分かれているが、映画の未来像を観客一人一人に委ねた所がこの映画、実にフェアーだと思った。

 面白かったのは、ILMの創始者でフィルムとの決別宣言をしたJ・ルーカスの圧倒的なデジタル偏重主義だった。彼は世界で初めてHDカメラだけで映画を作った、言わばデジタル時代の幕開けを作った人物である。その「スター・ウォーズ エピソードⅡ/クローンの攻撃」(2003米)は映像が無機質だと叩かれたが、要は何を撮るかという被写体の問題のように思う。「クローンの攻撃」は全編に渡ってCGで作られたキャラクターが映し出されているのだから、当然そういう意見があって当たり前である。
 デジタル・カメラの技術も日進月歩で、最近ではフィルムに劣らぬほど微妙な色調が再現されフィルムとさほど遜色が無くなってきている。

 一方で、「ダークナイト」トリロジーで知られるC・ノーラン監督は、あくまでフィルム派である。彼のアナログ好きは映画ファンの間ではかなり有名だが、時代に逆行するその姿勢は今もって健在で、彼のような流儀は昨今珍しい。そういう意味では、昔気質の職人気質を見てしまう。

 他にも、「アバター」(2009米)で世界で初めて3Dカメラを導入したJ・キャメロン、映像派作家D・フィンチャー、D・ボイル、うるさ型のS・ソダーバーグ。また、いち早くデジタルカメラを導入したことで有名なデンマークの鬼才ラース・V・トリアーといった映画人たちが登場してこの論争に意見を述べている。夫々に主張が微妙に異なるのが面白い。

 ただ一つだけ確かなこととして言えるのは、フィルムとデジタル、どちらにもメリットとデメリットがあるということである。本作は、そのあたりのことが大変分かりやすく説明されているので、映画好きであれば一度は見て損はないドキュメンタリーだと思う。

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