画面が華やかで良い。ウェルメイドな所も見てて気持ちが良い。
ポニーキャニオン (2014-03-19)
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「タイピスト!」(2012仏)
ジャンルロマンス・ジャンルコメディ
(あらすじ) 田舎から都会へ出てきたローズは、エシャールが経営する保険会社の秘書に採用される。ドジで不器用なローズだったが、エシャールは彼女のタイプの早打ちに注目して、タイプライター早打ち世界大会の出場を持ちかける。しかし、1本指で打つスタイルが癖となっているローズは地方予選であっさりと敗退してしまう。エシャールは鬼コーチと化して、ローズが10本指で打てるように特訓を始める。
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(レビュー) オープニング・タイトルのアニメーションからして、いかにも50~60年代のロマ・コメ的な懐かしさを覚える。実際、映画の時代背景も50年代であり、ファッションや小物、至る所にレトロチックな臭いが感じられた。
何故このご時世にこの時代の物語なのか‥という疑問も生まれてくるが、逆に今の観客には新鮮さを覚えるのかもしれない。お洒落で小粋なロマンチック・コメディが昔はたくさんあった。改めてそれを再現することで、今の観客にアピールするという狙いは中々面白い試みに思えた。
一方、ストーリーは、やや型にハマり過ぎな感じを持った。先の展開が容易に読めるし、クライマックス・シーンにエシャールが駆けつける経緯が弱いのもいただけなかった。この”捻りの無さ”は賛否あろう。個人的にはもう少し意外な展開を見てみたかった。
もっとも、大衆向けとして見れば必要十分な出来の映画になっていると思う。こうなって欲しいという所へ物語が進んでいくのでストレスなく見ることが出来る。
エシャールのバックグラウンドには戦争の悲劇が用意されているが、そこに深く突っ込まなかったのも見やすくて良かった。
また、田舎の地味な女性が世界へ羽ばたいていく‥というドラマ自体、極めて普遍的であり、誰が見ても共感を覚えられる作品になっていると思う。
唯一、エシャールが仕事そっちのけでローズに執心気味なのが若干、気になった。彼の豪邸を見るとお金には不自由していないのだろうが、ややもすると今回の一件は金持ちボンボンの余興とも写りかねない。作り手側は、エシャールの私生活やバック・グラウンドをもっと深く掘り下げて、そのあたりの疑念を払拭してやるべきだったように思う。