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殯(もがり)の森

リアリズムとファンタジーの究極の合体!
殯の森殯の森
(2008/04/25)
ますだかなこ、斎藤陽一郎 他

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「殯(もがり)の森」(2007日仏)星4
ジャンル人間ドラマ
(あらすじ)
 奈良県山間部の老人ホームに新しい介護福祉士真千子がやって来た。幼い息子を亡くして失意のどん底にいた彼女は、新しい環境に中々なじめないでいた。そんな彼女を見つめる一人の老人がいた。軽度の認知症を患った老人しげきである。彼は33年前に亡くした妻を今でも想い続けていた。真千子に亡き妻を重ねるしげき。2人は次第に交友を重ねていく。
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(レビュー)
 愛する者を亡くした者同士の交流を描いたシリアスな人間ドラマ。

 監督・脚本は今作でカンヌ映画祭グランプリ授賞という快挙を成し遂げた河瀬直美。死生観という普遍的なテーマをシンプル且つ正面から描いたところが評価されたのだろう。

 尚、河瀬作品はデビュー作の「萌の朱雀 」(1997日)しか見たことがない。
 なので、彼女の作家性を完全に把握しきれていないのだが、少なくともドキュメンタリズムに拠った演出は「萌の朱雀」から一貫されていると思った。そして美しい自然背景と素人俳優の起用。これも共通している。徹底したリアリズムが見る者を映画の世界に引き込んで離さない。そんな魅力がある。

 ただし、「萌の朱雀」と違って、今回は後半で少し違うテイストを見せていく。リアリティーを追求するドキュメンタリー・タッチは崩さないのだが、そこにファンタジーの要素が入ってくるのだ。
 森の中に迷い込んだ真千子としげきのサバイバルは、日常生活からの完全な乖離を意味し、そこで営まれる大自然との格闘は人間の生命力を声高らかに謳い上げるようになっていく。人間の存在意義という壮大な、それでいて日常生活では絶対に味わえないような”大切なもの”を描いているのだ。そこにはスピリチュアルな風情も入ってくる。

 本来、寓話というものは、メタファーとして受け止められるべきものだが、この映画の場合リアリズムを追求した作りになっているため少し面白いテイストになっている。
 その面白さを支えた最大の貢献者はしげき役を演じたうだしげきにあろう。
 そもそも、素人が演技をすること事態、リアリズムとファンタジーの同居という気がする。物語の登場人物に息を吹き込むために”演技”をするのが役者の使命だとすると、素人である彼はそこに”存在する”だけすでに登場人物に見えてくる。作られたものではない自然な演技は、正にリアリズムとファンタジーの中間という感じがする。本作に不思議な味わいをもたらしているとしら、それは彼の存在によるところが大きい。

 例えば、畑の中を真千子と戯れる表情。年を重ねることで人は赤ん坊に戻ると言うが、正にしげきの笑顔は無邪気な子供のそれに見えてくる。こういう顔は作ろうとしても中々出来ない。逆に作ってしまうと不自然に見えてしまう。当然、ナチュラルな演技を引き出した河瀬監督の手腕も評価されてしかるべきだろう。

 その一方で、真千子を演じた尾野真千子に対しては時に剛直な演出を要求している。これも堂に入っていた。特に、豪雨の中にほとばしる激情、体当たりの肉体演技を披露する焚き火のシーン。これらの迫力には圧倒された。
[ 2008/04/27 01:11 ] ジャンル人間ドラマ | TB(0) | CM(0)

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