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強迫/ロープ殺人事件

実際に起こった事件を映像化した作品。ヒッチコックの「ロープ」を見ていると更に面白く見れる。
強迫/ロープ殺人事件 [DVD]
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「強迫/ロープ殺人事件」(1959米)星3
ジャンルサスペンス
(あらすじ)
 1924年、シカゴ。強盗を繰り返しながら無軌道な青春を送っていた大学院生アーティとジャドは、自分たちが他の人々より優れていることを証明するために完全犯罪を企てる。二人は一人の少年を誘拐すると冷酷に殺害した。警察は事件現場から二人の周囲に捜査の範囲を狭めていく。これに対してアーティは大胆にも警察に協力する振りをして捜査をかく乱していった。一方、元来気弱なジャドは日々、怯えて過ごすようになる。

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(レビュー)
 実際に起こった殺人事件をベースにした犯罪映画。

 前半はアーティとジャドのドラマで、後半は彼らを弁護するベテラン弁護士ウィルクのドラマになっている。正直、ストーリーの視座が途中で切り替わってしまうため、ドラマの力点が定まらない印象を持った。犯罪心理を描くドラマなのか、法廷ドラマなのか、どちらかに重心を置いて描くべきだったように思う。

 ただ、こうしたチグハグな作りではあるものの、前半と後半で夫々に見応えはある。

 前半は、いわゆる”レオポルド&ローブ事件”を元にした実録犯罪ドラマとなっている。この事件は、その残虐性、裕福な子息が起こした殺人ということからアメリカ中に大きな衝撃を与えた事件である。尚、事件そのものについてはwikiを参照されたし。

 かなり有名な事件で、かのヒッチコックもこれを題材に「ロープ」(1948米)という映画を作った(元々は舞台劇だった)。「ロープ」は犯行の過程を1シチュエーションのリアルタイムで描いた実験的作品で、基本的には犯人の人物像そのものについては余り深く言及されていなかった。しかし、今回の映画は、その「ロープ」では描き切れなかった事件背景を知ることが出来る。そういう意味では、先に「ロープ」を見ていると大変面白く見れる作品である。

 後半から、物語はアーティ達を弁護するウィルクのドラマに切り替わる。彼は死刑廃止論者で、今回の事件で有罪が確定されたアーティ達を減刑すべく必至の弁論を始める。ウィルクを演じるのは名優O・ウェルズ。何と言っても後半の見所は彼の熱演である。

 特に終盤、法廷で長い演説を繰り広げるシーンは圧巻だった。ここまで長い一人芝居をされると、完全にアーティとジャドの存在は影に隠れてしまうが、ともかくも、このシーンで見せるウェルズの熱演は圧倒的である。
 尚、ウィルクも事実の即したキャラクターで、wikiによれば、何と彼は12時間も弁論を行ったらしい。法廷にいた検察や判事、傍聴席に座っていた人たちは一体どんな思いで彼の熱弁を聞いたのだろう?半日もじっと椅子に座って他人の言論を聞かされたら、さすがに苦痛だろう。何故にこの弁護士はこれほど長時間にわたって自分の主張を繰り広げたのだろうか?その真意は不明である。

 監督はR・フライシャー。今回も職人監督らしい手際の良い仕事を見せている。元来、こうしたサスペンスは彼のお家芸とも言える。実に手堅くまとめていると思った。アバンタイトルの緊迫感を引き出した演出も見事だった。一気に画面に引き込まれた。

 尚、後半にKKKが登場してウィクルの家の前で抗議をしていたが、この意味を映画を見ている最中は全く理解できなかった。
 後で調べて分かったが、KKKは反ユダヤ主義であり反同性愛主義でもあったらしい。アーティ達はユダヤ人で、ジャドは同性愛の性癖がある。おそらくはこれにKKKは抗議していたのだろう。
[ 2016/02/06 03:26 ] ジャンルサスペンス | TB(0) | CM(0)

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