一風変わった作りのクライムムービー。髪の毛があるステイサムも珍しい。
角川映画 (2011-03-18)
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「リボルバー」(2005伊仏)
ジャンルアクション・ジャンルサスペンス
(あらすじ) カジノ王マカに罠をハメられ7年間の刑務所暮らしを強いられたジェイクは、復讐を果たすために彼のカジノへ向かった。1対1の賭け勝負に見事に勝利し、彼は大金をせしめた。ところがその直後、突然意識を失ってしまう。医師の話では余命わずかと診断された。その後、ジェイクはマカが差し向けた殺し屋に命を狙われるようになる。そこを謎の2人組ザックとアヴィに助けられる。
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(レビュー) 天才詐欺師の復讐を眩惑的なタッチを交えて描いた異色のクライム・サスペンス。
監督ガイ・リッチーと製作L・ベッソンがタッグを組んだ野心作で、これまでに二人が撮ってきた作品カラーからすると、かなり異質な映画となっている。単純明快なエンタテインメントとは一線を画した、ある意味では大変”不思議”な映画である。
脚本はリッチーとベッソンが書いたオリジナル脚本である。おそらく、この”不思議さ”は二人が狙ってやっているのだろう。
まず、映画が始まっても中々、主役であるジェイクの素性が判明しない。彼のバックグラウンドについては後になってから回想という形で判明するが、どうも彼のその記憶もあやふやで、見ている方としては、彼が一体何者で、彼の周囲で一体何が起こっているのか、よく分からないままドラマが進行する。
また、ジェイクを助けたザックとアヴィという怪しげな二人組の男たちも、何が目的で彼に近づいてきたのかさっぱり分からない。ちなみに、途中で彼らの仲間が何の説明もないまま登場してくるが、彼らの素性も全く分からない。
極め付けは、影の権力者ゴールドの存在である。ジェイクとマカは彼の掌の上で踊らされながら抗争を繰り広げていくのだが、このゴールドなる人物も最後まで登場してこない。果たして、ゴールドとは一体誰だったのか?本当に存在していたのだろうか?
このように、この映画は通俗的な”話法”では作られていない、極めて謎の多い作品である。見終わった後に色々とモヤモヤした感じが残る。
ガイ・リッチーと言えば、過去に「ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ」(1998英)、「スナッチ」(2000米)といったスタイリッシュなクライム・ムービーを撮ってきた監督である。また、L・ベッソンは、ヨーロッパ・コープという製作会社を設立して
「96時間」(2008仏)や
「ロックアウト」(2012仏)といった軽快なエンタメ作品を輩出してきた人物である。その二人が組んだ作品にしては、今回の映画は随分と”難解”である。果たして、ファンの間ではどう捉えられたのだろうか?賛否が分かれよう。
ただ、所々の演出に関しては、従来のリッチー節が炸裂しており、シーンによっては単純に楽しめる場面が幾つかある。
例えば、マカと香港マフィアの抗争にいきなり登場してくるアニメ・パートは、中々奇抜で面白い。また、後半の殺し屋ソーターの銃撃戦にも、かなり面白い演出が見られた。
ちなみに、このソーターの造形は非常に魅力的で、このあたりは「ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ」から続く”リッチー印”的キャラだと思った。
時制の交錯、グラフィカルな映像等、全体的にはガイ・リッチーの意気込みが伝わってくる”映像作品”となっている。
尚、この映画は結末もかなり”唐突”で”変”である。昔はこういう終わり方をする映画もあったが、最近では珍しくなった。