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テレフォン

リアリティ云々は置いておき、このアイディアは中々ユニーク。
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「テレフォン」(1977米)星3
ジャンルサスペンス
(あらすじ)
 モスクワから元KGBのダルチムスキーが疾走した。彼は米ソ冷戦時代の急進派で、アメリカでテロを起こすために渡米していた。早速、彼はアメリカに潜入したスパイを使って米軍基地で自爆テロを行う。CIAが事態を調査する一方で、ソ連政府はテロをこれ以上拡大させないために元軍人のボルゾフ少佐をアメリカへ送り込む。

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(レビュー)
 電話を使った催眠術とは凄いアイディアである。
 しかし、かなり無理のある設定であることも確かで、そのあたりを許せるかどうかで作品の評価が真っ二つに別れそうである。
 フィクションとして割り切って観ればかなり楽しめるが、逆にマンガ的と一蹴することも可能で、このアイディアだけでかなり”ふるい”にかけられそうである。
 尚、個人的にはこれくらい”ぶっ飛んだ”アイディアは全然ウェルカム。あくまで”作り物”として十分楽しめた。

 監督はD・シーゲル、共同脚本にP・ハイアムズが名を連ねている。アクション映画的には申し分ない布陣で、更にキャスト陣も渋い。主演のボルゾフ役にC・ブロンソン、敵役のダルチムスキーにD・プレザンスが扮している。アクの強い個性派俳優が追跡劇を繰り広げる展開には結構ワクワクさせられた。
 もっともブロンソンはブロンソンであり、プレザンスもプレザンス。二人とも役作りという以前に”素”の本人である。ブロンソンには東欧の血が流れているが、流石にロシア人というと話はまた別である。この設定には首を傾げたくなった。

 ストーリーは実に軽快に展開され、序盤からグイグイと惹きつけられた。CIAの動きが今一つ本編に絡んでこないのが期待はずれだったが、とにかくボルゾフが黙々とダルチムスキーを追い詰めていく経過がストイックに描写されていて最後まで面白く見れた。

 ボルゾフ追跡をコーディネートするアメリカ人女性バーバラの存在も良い。実は彼女にも秘密があり、ボルゾフとのやり取りが中々興味深く描かれている。バーバラ側からこのドラマを解釈すれば、また違ったドラマとして見れるだろう。いわゆる極上のメロドラマとして立派に成立している。
 ボルゾフと彼女の関係はラストで見事なハッピーエンドを向えるが、このさりげない”オチ”にも感心させられた。皮肉的で面白い。

 このラストの”オチ”に見られるように、今作には度々ユーモラスな演出が登場してくる。その最たるものが、CIAの情報処理の女性エージェントのキャラクターである。彼女と上司のやり取りが一々面白かった。

 尚、催眠術を利用したテロの映画で思い出されるのがJ・フランケンハイマーが監督した「影なき狙撃者」(1962米)という作品である。これも東西冷戦を背景にしたスパイ映画で、主人公が催眠術によって暗殺者に変貌するという、見ようによっては極めてフィクショナルなサスペンス設定だった。しかし、フランケンハイマーの緊張感みなぎるタッチが秀でた傑作である。未見の方はぜひ。

 サスペンスを盛り上げるアイディもリアリティばかりに捕われると、どうしてもこじんまりとした物になってしまう。こうした、ある種ハッタリを利かせた映画も、たまに見る分には良いものである。
[ 2016/03/29 00:47 ] ジャンルサスペンス | TB(0) | CM(0)

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