一発ネタながらアトラクション映画としては十分楽しめる。
「クローバーフィールド/HAKAISHA」(2008米)
ジャンルアクション・ジャンルSF
(あらすじ) ニューヨークのマンハッタン。日本の企業に栄転が決まったロブのために、彼のアパートで送別会が開かれる。そこに元カノのベスがやって来た。やり直しを求めるロブだったが、結局ベスは彼の元から去っていってしまった。と、その時突然轟音が鳴り響く。街一帯が炎に包まれ、巨大な”何か”が高層ビルの間から姿を現した。パニックに陥る人々。ロブと友人達はマンハッタンを脱出しようとするが‥。
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(レビュー) 突如として現れた巨大怪獣がニューヨークの街を破壊しまくるSFパニック映画。
全編ビデオカメラによる一人称視点で撮られ、あたかも観客はその現場にいるかのような臨場感が味わえる。真っ先に思い出されるのが、同じアイディアで撮られた「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」(1999米)だ。しかし、本作の方が金もかかっているしアトラクション的な娯楽性も高い。ストーリー云々を度外視して、割り切った上で十分楽しめた。もっとも、アイディアだけなら浅野忠信がヲタク青年に扮した「[Focus]」(1996日)の方が断然先鋭的であるし、メディア批判というメッセージも刺激的であった。
巨大怪獣を煽りで捉えるというのが、怪獣映画の醍醐味ではないかと思う。そういう意味で言えば、この映画は正にカメラ目線による煽りが続くわけで、怪獣映画っぽさが上手く出ていると思った。
ただ、クライマックスにかけては、緊張感を堅持していた煽りの目線が、ついには”ありえない”ような光景を捉えていくようになる。ヒロイックさを追求する余り過剰な演出になってしまったことはいささか残念だった。
怪獣の造形は想像していたものと大分違っていた。悪く言えば肩透かし‥ということになる。どうやらこの怪獣には裏設定があるらしく、映画は様々な疑問を残したまま終わっている。謎解きで評判を呼んだ「ブレア~」同様、ネットを利用した話題作りの一環ということであろう。製作者は続編を考えているのかもしれないが、この映画のスタイルがスタイルだけに、もし作られるとしたらどういう風になるのか興味深い。
クローバーフィールド/HAKAISHA@映画生活