日米二大怪獣の対決や如何に!?
東宝 (2014-07-16)
売り上げランキング: 19,194
「キングコング対ゴジラ」(1962日)
ジャンル特撮・ジャンルSF・ジャンルアクション
(あらすじ) TV局のスタッフ桜井は、視聴率アップのためにスポンサーであるパシフィック製薬の部長から“南海の巨大魔神”を探す探検番組の企画を言い渡される。早速、桜井は相棒・藤田を連れ立って現地に向かった。彼らはそこで原住民から“魔神キングコング”の存在を知らされる。一方、北極海ではアメリカの原潜が氷山の眠りから覚めたゴジラを発見する。ゴジラは日本にめがけて進行した。その頃、南島の桜井たちはキングコングを捕獲して日本へ連れ帰ろうと算段していた。
ランキング参加中です。よろしければポチッとお願いします!


(レビュー) 東宝創立30周年記念作品として製作されたゴジラシリーズ第3弾。
今回の作品は、アメリカ映画の怪獣王”キングコング”と日本の怪獣王”ゴジラ”が戦ったらどちらが強いか?というコンセプトから始まった企画モノ的な映画である。双方ともに超有名な怪獣である。当時の子供たちはさぞかしワクワクして見たのではないだろうか?
とはいえ、怪獣同士の戦いは確かに大きな見所なのだが、個人的には前半の人間ドラマ。とりわけパシフィック製薬の社長のコミカルなキャラクターが大変気に入った。
演じるのは有島一郎。軽妙な演技は流石にこなれていて、一人で”場”を賑わすほどの存在感を見せつけている。視聴率のことしか頭にない典型的な会社人間は普通であれば憎々しくなるものだが、有島が演じるとどこかチャーミングに見えるから不思議である。これぞ有島一郎の”味”であろう。
また、桜井と妹、妹の婚約者が同じ団地の隣同士に住むという設定も面白かった。この設定はストーリーを軽快に勧めるのに一役買っている。また、三者の軽妙な会話も洒落てて良かった。
全体的にストーリーはテンポ良く進むので、主役である怪獣不在でも十分面白い。桜井がドラムを叩いて登場したり、ハンカチで口紅を拭くなどの演出もスマートで良かった。
ただ、その一方でご都合主義な展開もあり、特に怪獣対決が主となる後半でそれが目立つ。
例えば、南洋の孤島に日本のラジオの電波が届くか?といった突っ込みや、ゴジラの上陸で避難した桜井の妹を婚約者が追いかけるのは物理的に考えて無理ではないか?といったシナリオ上の綻びがある。かなり強引なこじつけに感じられた。
特撮的な見所としては、当然クライマックスの二大怪獣の戦いになるが、それ以外にも本物のタコを使った特撮シーンも印象深い。当然合成となるわけだが、うねうねと動く触手がかなり気持ち悪かった。
また、全体のユーモアなトーンを意識してか、怪獣対決の方にもそういった演出が施されている。ゴジラとキングコングは二度戦うのだが、その第1戦。ゴジラに敗北したコングが頭をかいて逃げ去る姿が妙に可笑しかった。岩陰に隠れるコングも何だか間抜けで可愛らしかったし、今回の映画は純和製なので全体的にゴジラ優勢といった着色になっている。
尚、「キングコング」の名称使用料として東宝はアメリカRKO社に対して5年契約8000万円を支払った。当時としては破格の金額だったが、映画は大ヒットを飛ばし、この年の年間配収第4位、3億5千万円を稼ぎだしている。このように十分の利益を上げることが出来たのだから、この企画は大成功と言っていいだろう。
また、これに味を占めた東宝は、RKO社との契約が切れる直前に第2弾として「キングコングの逆襲」(1967日)を製作した。そちらはコングが完全に正義のヒーローであり、敵役としてゴリラ型の巨大ロボット”メカニコング”が登場してくる。このメカニコングのデザインは中々味わい深いので、興味のある方はぜひそちらもご覧いただきたい。