「ゴジラ」の元ネタと言われている作品。
ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント (2015-11-18)
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「原子怪獣現る」(1953米)
ジャンル特撮・ジャンルSF・ジャンルアクション
(あらすじ) 米軍が北極圏の水爆実験の最中に謎の巨大生物を発見する。第一発見者であるトム・ネスピット教授は負傷しニューヨークの病院に搬送された。しかし、彼がいくら怪獣を見たと訴えても誰も信用しなかった。その頃、海洋を航行中の漁船が巨大生物に襲われるという事件が発生する。この事件を知った教授は被害者の元を訪ねるのだが‥。
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(レビュー) 太古の恐竜が水爆実験によって地上に蘇るパニック映画。
怪獣映画好きの間では有名な話だが、本作は「ゴジラ」(1954日)の元ネタではないかと言われている。見てみると確かにそう思える節がある。例えば、怪獣が水爆実験で生まれたことや、最新鋭の秘密兵器で倒される結末などは明らかに「ゴジラ」に通じるものである。
実際に本作が日本で公開されたのは1954年なので「ゴジラ」と同じ年である。しかし、アメリカでは1953年に公開されているので、もしかしたら東宝の製作サイドが何らかの形で、この設定なり、プロットなりをどこかで目にしたのかもしれない。本当の所は分からないが、それくらいこの両作品はよく似ている。
もっとも、こと特撮に関して言えば、その手法は大きく異なる。ご存知のように日本の「ゴジラ」は完全に着ぐるみの怪獣である。それに対して、こちらの怪獣はコマ撮りアニメで表現されている。
そのアニメーションを担当したのが、言わずと知れたダイナメーションの大家レイ・ハリーハウゼンである。素朴ながら活き活きと表現された怪獣の動きは正にハリーハウゼンといった感じで、現在のCG全盛の映像とは一味違う味わいを持っている。本作は彼の名を一躍有名にしたことでも知られている。
また、本作の原作はレイ・ブラッドベリの短編「霧笛」である。但し、原作とは言っても、映画の中には原作は一部分しか出てこない。怪獣が灯台を破壊するシーンだけである。それ以外は、ほとんど映画独自のストーリーとなっている。
そして、このレイ・ハリーハウゼンとレイ・ブラッドベリは高校時代からの親友という縁を持っている。本作はそんな二人の”レイ”が組んだ最初にして最後の作品ということでも知られている。
監督はこの手の怪獣映画では職人的な手腕を発揮するユージン・ローリー。演出は安穏としているが、ハリーハウゼンの特撮が活躍を見せるクライマックス・シーンは中々魅せる。ただ、突っ込み所満載な低予算映画なので、その辺はご容赦を‥。
ストーリーは怪獣映画の王道を行くような展開で、地味ながらよく出来ていると思った。ヒロインと主人公の絡みもドラマの進展に無理なく詰め込まれていて中々良い。
キャストでは、西部劇ではお馴染みのリー・ヴァン・クリーフがチョイ役で登場してくる。後年の渋い風貌からは想像もできない初々しさだが、ラストで美味しい所を持って行く。これほどの大役を任されるとは、やはりこの頃から期待されていたのだろう。