ご都合主義が目立ちすぎて余り乗れず‥。
キングレコード (2014-06-25)
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「魔女っこ姉妹のヨヨとネネ」(2013日)
ジャンルアニメ・ジャンルファンタジー・ジャンルアクション
(あらすじ) 魔の国に暮らすヨヨとネネは、呪いを掛けたり解いたりする“のろい屋”を営む魔女の姉妹である。ある日、森に突然ビルが次々と現れる。調査に向かったヨヨはそこから現代の日本に飛ばされる。彼女はそこで両親を化物に変えられた少年、孝洋と出会う。ヨヨは背後に何かよからぬ呪いが存在していると踏んで解決に乗り出す。一方、魔の国に残されたネネは、ヨヨの捜査のサポートをすることになるのだが‥。
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(レビュー) 魔の国の魔女が現代の日本に現れて大活躍を繰り広げるファンタジー・アニメ。「月刊コミックリュウ」に連載されていた「のろい屋姉妹」(未読)を映画化した作品である。
アニメーションを製作したのは、2007~2010年にかけて劇場公開された「劇場版 空の境界」を作ったufoableというスタジオである。「空の境界」の映像美はマニアの間でかなりの評判になり、多くのファンが劇場に駆け付けた。結果的に単館ロードショーという形式だったが、興行的にはハイアベレージな数字を上げ、いわゆるコアなアニメ層に向けた興業戦略というものがきちんと成立するということを証明して見せた。
本作はそのufoableが製作した作品である。それだけに映像のクオリィは折り紙付きである。
実際に画面の作り込みは非常に素晴らしく、活き活きと動くキャラクターたち、カタルシスをもたらす痛快なアクション、異世界の独特の世界観等、見所が満載である。
但し、ストーリーに関して言うと、かなり難があると感じた。
一言で言ってしまえば、ご都合主義の連続である。第一に、登場人物たちが皆、周囲の異常な状況をいとも簡単に受け入れてしまうのが不自然過ぎる。ストーリーを前進させるためなのだから、ある程度は仕方がないと言う事も出来るが、それにしたってクライマックス以降の展開は強引過ぎる。
例えば、ヨヨは自分の魔力が落ちかけていると言っておきながら、その後は何事もなかったかのように平気で使っている。
あるいは、彼女のお供として付いてきた異形の生物”ビハク”を見た時の祭りの人々のリアクションも、どう考えても軽すぎる。普通であれば、あんな生物を見たら驚くだろう。
そして、これが最大の突っ込み所なのだが、今回の一連の事件を作ってしまった犯人たち。彼らは周辺の異変に気付きながら何をしていたのだろうか?あのままゲームアプリの開発を続けていたとでも言うのだろうか?普通に考えればパニックに陥ってそれどころではないはずである。
更に言うと、なぜヨヨが現実世界に来ると成長した姿に変わってしまうのか。その説明も映画の中では全然されていなかった。
もしかしたら、こうした不信感は原作を読んでいれば解けるのかもしれない。しかし、1本の映画の中にこれだけの欠陥を感じてしまうと、作品に入り込むことは出来なくなってしまう。この作品のことを初めて見る観客に対してもう少し丁寧な描写が必要だったのではないだろうか。
映像は魅力的だっただけに、このようなご都合主義、説明不足が引っかかってしまい全体的には最後まで乗れなかった。そういう意味では非常に惜しい作品である。