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ブレイン・スナッチャー/恐怖の洗脳生物

サザーランド繋がりで「SF/ボディ・スナッチャー」を思い出してしまうが、まったく毛色の異なる作品。
ブレイン・スナッチャー/恐怖の洗脳生物(字幕版)
(2013-11-26)
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「ブレイン・スナッチャー/恐怖の洗脳生物」(1994米)hoshi2.gif
ジャンルSF・ジャンルサスペンス
(あらすじ)
 アイオワの田舎町に未確認飛行物体が墜落する。マスコミは地元の少年が悪戯で飛ばしたと報道したが、不審に思った科学情報局長のアンドリューは部下で息子のサム、NASAの宇宙生物学者メアリーを引き連れて現場へ急行した。すると墜落現場は、のどかな観光ムードに包まれていて肩透かしを食らってしまう。しかし、3人は住民たちの様子がどこかおかしかいと思い調査を続けていく。

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(レビュー)
 人間の脳を洗脳するエイリアンと科学者たちの戦いを描いたSFサスペンス作品。ロバート・A・ハインラインの小説「人形つかい」の映画化である。

 いわゆる”スナッチャー(寄生)物”の映画だが、本作はエイリアンとの戦いに、アンドリューとサムの父子確執ドラマを忍ばせた点が面白い。
 エイリアンは地球人の脳に寄生するが、それと同じようにサムも父アンドリューの呪縛に縛られて生きてきた青年である。サムの父に対する愛憎は映画中盤、エイリアンに寄生されたサムとアンドリューの1対1の対話シーンで判明するが、ここはドラマのキーポイントとして中々の見応えを感じた。一見すると能天気なB級映画のように思えるかもしないが、エイリアンの一連の事件に父子確執のドラマが巧妙に投影されている点は注目に値する。

 ストーリーは冒頭からかなり早いテンポで進む。未確認飛行物体の墜落を隠す住民たちに不信感を覚えたアンドリューたちは、持ち前の行動力で早速、独自に調査を開始していく。ミステリアスな序盤は中々良く出来ていて、時々出てくるユーモラスな会話も軽妙で面白い。

 また、割と早い段階でエイリアンの正体を明かし、以降をエイリアンとの戦いに集中した展開も潔い。得てしてこの手の映画はエイリアンの調査を水増しし、結果として観客の興味を削いでしまうパターンが多いが、本作に関してはそういった”まどろっこしさ”はない。ゆえに、すんなりとドラマに集中できた。

 しかも、このエイリアンの造形がかなり気色が悪くてインパクトが絶大である。正直なところ、生理的に苦手な部類に入るのだが、その気色悪さも含めてよくデザインされていると思った。

 また、エイリアンに憑依された人間かどうかを選別するヒントも中々凝っていて、パッと見では分からないようになっている。
 この手の”スナッチャー物”では、過去に「遊星からの物体X」(1982米)という傑作があったが、あれも一体誰がエイリアンに取りつかれているのか分からず、そこがサスペンスを上手く盛り上げていた。実写映像化もされた大人気コミック「寄生獣」も然り。こうしたサスペンス的な面白味が、本作は一つの見所となっている。

 とはいえ、いかんせ本作は”見せ方”という点でかなり損をしている。誰がエイリアンに寄生されているのか、わざわざカメラワークでバラしてしまっているシーンが何箇所か散見され、このあたりは実に勿体ないと思った。
 原作小説は未読であるが、おそらく小説であれば文字だけで説明すれば事足りるので、こうした不満は余りでてこないだろう。しかし、映画の場合はそれを映像として具体的に見せなければならない。そこでこのような下手な演出をしてしまうと、途端に台無しになってしまう。このあたりは映像化する上での難しさであろう。もう少し演出力のある監督であれば‥と惜しまれる。

 ドラマ的には先に述べたアンドリューとサムの父子の確執、サムとメアリーのロマンスといった物が用意されており、中々良く出来ていると思った。低予算の作品なので、決して派手なアクションが登場するわけではないが、ラストのオチまで上手くまとめいている。欲を言えば、クライマックスのエイリアン退治は、もう少し盛り上げて欲しかったか‥。しかし、これは無い物ねだりだろう。

 尚、かなり地味になってしまうが、マイケル・クライトンの原作を名匠R・ワイズが監督した「アンドロメダ…」(1971米)という作品がある。両作品とも、科学者が未知の生命体を調査していくという展開が共通している。どうせ低予算で製作するのであれば、ああいうやり方もあったかもしれない。「アンドロメダ…」は本作とは全く違ったテイストの硬派なSF映画である。

 キャストではアンドリュー役のD・サザーランドが印象に残った。サザーランドと言えば、SF映画でもう1本思い出される作品がある。それはラストのどんでん返しが物議を醸した「SF/ボディ・スナッチャー」(1978米)である。これもいわゆる”スナッチャー物”であるが、サザーランドが主役を演じているので本作の邦題も「ブレイン・スナッチャー」となったのだろう。何となく類似作品のように思えるかもしれないが、本作は「SF/ボディ・スナッチャー」とは似て非なるものである。
[ 2017/01/31 01:04 ] ジャンルサスペンス | TB(0) | CM(0)

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