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暴走パニック 大激突

深作欣二と言えば「いつかギラギラする日」(1992日)。その原型と言われている作品。
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「暴走パニック 大激突」(1976日)星3
ジャンルアクション
(あらすじ)
 バーテンダーの山中は相棒の光男と銀行強盗を繰り返していたが、逃走中に光男を交通事故で失ってしまう。追い詰められた彼は国外脱出を図るべく準備を始めた。するとそこに光男の兄の勝男が盗んだ金を狙ってやって来る。山中は犯人逮捕に全精力を傾ける警官・畠野と、金を狙う勝男から追われるようになる。

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(レビュー)
 派手なカーチェイスが見物の東映製作のクライム・アクション作品。

 いわゆるプログラム・ピクチャーの1本として作られた作品であるが、後半のハチャメチャなカーチェイス・シーンは正に何でもありな”喧嘩祭り”状態で、タイトルの「暴走パニック」そのものである。決して予算が潤沢ではない中、過激なアクションに果敢に挑んだ意気込み、作り手側の情熱が伝わってきた。

 監督は深作欣二。脚本は同氏の他に田中陽造の名前もクレジットされている。この当時、深作は田中と共に東映の実録物路線のヤクザ映画「仁義なき戦い」の新たなシリーズを出発させたばかりだったが、今回は一転してリアル路線からかけ離れたフィクショナルな犯罪映画となっている。

 とは言っても、前半の銀行襲撃シーンに見られるように、荒々しい手持ちカメラを多用したドキュメンタリズムな演出は相変わらずで、全編それが貫通されているあたりに”深作節”が感じられる。

 それにしても、平和な日本の公道でパトカーや暴走族、民間人が乗った車、某公共放送の中継車が”スピード違反上等”な追跡劇を繰り広げるのだから、コレはまったく持ってナンセンスなコメディである。
 しかし、この冗談みたいなカーチェイス映画を本気で撮ってしまうのが深作欣二の凄さである。彼は、剛腕として知られた当時の東映社長・岡田茂から、ハリウッドのようなカーチェイス映画を撮れと言われて本作の企画に着手したらしい。そして、その特命に深作は見事に応えたと思う。当時のハリウッド製カーアクション映画と十分肩を並べる‥いや少なくとも<型破り>の度合いで言えばそれらを凌駕するような荒々しいカーアクション映画になっている。

 そう言えば、同年にアメリカで製作された「バニシング IN TURBO」(1976米)も、本作と似たようなスラップスティックなカーチェイス映画だった。これはB級映画の帝王R・コーマンの下で今やハリウッドのメジャー監督となったR・ハワードが初めてメガホンを取った作品である。本作はそれとの共通性が見られる。特に、後半の敵味方入り乱れての車同士のぶつかり合いはよく似ていた。正に狂熱の坩堝と化した”車両”の”バトルロワイアル”である。

 また、同年に製作された「狂った野獣」(1976日)との類似性も興味深く分析できる。こちらは深作と共に東映で活躍した中島貞夫監督が撮った、強盗犯と警察の追跡劇を全編に渡って描いた豪快なアクション映画だった。両作品とも主演が渡瀬恒彦ということもあり、どうしても比較してしまいたくなる。おそらく「狂った野獣」も本作同様、当時の時流に乗って作られた東映製カー・アクション映画の1本だったのだろう。比較してみると面白いと思う。

 ストーリーは、強盗犯・山中の逃亡をハイテンション且つシンプルに描いた簡素なものである。ただ、途中で現れる元相棒の兄・勝男の危険に満ちた造形がインパクト大で、彼のおかげでこの逃亡は中盤以降もダレることなく面白く観ることが出来た。ちなみに、こちらは室田日出男が嬉々として怪演している。

 また、山中を追いかけるヌードモデル・ミチの存在感も絶妙だった。いかにも不幸を背負った身の上は、やや型にはまり過ぎな感じも受けたが、彼女の存在が山中の行動を左右するのでドラマがスリリングに展開されている。この立ち位置も見事である。

 更に、ダメ警官・畠野を演じた川谷拓三も印象に残った。演技自体はいつものように、ギャンギャンがなり立てる小物感に終始しているが、警官という役所が珍しい。彼は大体ヤクザの舎弟役が多いのだが、今回は真逆の職業である。そのおかげで新鮮に観れた。

 ちなみに、見所となるカーチェイス・シーンだが、一部で明らかに「フレンチ・コネクション」(1971米)を意識したかのような演出・カメラワークが見られて思わずニヤリとさせられた。かの有名な高架橋下のカーチェイスとそっくりなシーンが出てくる。場所は廃工場なので、シチュエーションは全く異なるが、2台の車が激しいデッドヒートを繰り広げる様をスピーディーに活写している。見る人が見ればすぐ分かるだろう。
[ 2017/02/20 00:24 ] ジャンルアクション | TB(0) | CM(0)

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