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裸足のピクニック

ブッラクテイスト漂う青春コメディ。
裸足のピクニック [DVD]
ポニーキャニオン (2004-03-03)
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「裸足のピクニック」(1993日)hoshi2.gif
ジャンルコメディ・ジャンル青春ドラマ
(あらすじ)
 女子高生・純子はキセル乗車がバレて家に戻ることが出来ず祖母の家へと向かった。ところが、そこでは祖母が急逝しており両親が葬儀の準備を執り行っていた。その帰り道、両親は交通事故を起こして入院してしまう。結局、葬儀には純子が一人で出席することになった。そこで彼女は祥子と名乗る女性に出会う。純子は彼女のことを遠い親戚とばかり思っていたが、実はまったくの赤の他人だった…。

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(レビュー)
 「ハッピーフライト」(2008日)「WOOD JOB(ウッジョブ!)~神去なあなあ日常~」(2014日)の矢口史靖監督の長編デビュー作。

 矢口監督はPFF出身の監督で、本作はそのPFFのスカラシップで製作された作品である。
 改めて説明すると、PFFとは「ぴあ」が主催する自主製作専門の映画祭で正式名称は「ぴあフィルムフェスティバル」と言う。年に1度開催されており、その中から毎年グランプリが選出され、この映画祭からはこれまでに多くの有名監督が誕生している。園子音、橋口亮輔、熊切和嘉、石井裕也等、現在活躍している監督たちもPFFの出身である。

 そのPFFではスカラシップという制度が設けられている。これは応募作品の中から1名の監督を選出し、劇場公開に向けた映画製作のサポートをするというものである。矢口監督はこの制度の中で本作を完成させた。
 尚、PFFスカラシップ作品はこのほかに、以前このブログでも紹介した「14歳」(2006日)「パーク アンド ラブホテル」(2007日)「川の底からこんにちは」(2009日)などがある。

 さて、そんな矢口監督の長編処女作は、現在の彼の作品からは考えられないほど、かなりブラックなテイストが入った怪作となっている。主人公である女子高生が、ひたすら悲惨な運命に翻弄されていくという、一風変わったコメディだ。

 物語は非常に軽快なテンポで進む。後の矢口監督の作風の一つの特徴でもあるデフォルメ感覚が、キャラ造形や演出に上手く効いている。いわゆるエンタテインメントに徹した作りは大変潔い。

 但し、演出が若干こなれていない所があり、明らかに不自然に映る箇所が幾つか見られた。

 例えば、葬式の後に純子は火事騒動を起こすのだが、このあたりの描写はかなり強引に映った。また、ラストのまとめ方も安易でいただけない。やりたい事は理解できるのだが、技術がそこに追いついていないといった印象を持った。

 スカラシップで助成金が出ると言っても、決してメジャー作品のような潤沢な補助を受けられるわけではない。本作はあくまで「ぴあ」が主催するインディペンデント作品である。したがって、そこには当然予算的な限界や周囲のスタッフの質といった問題が出てくるだろう。今回見られた作りの甘さは、そのあたりにも原因があるのかもしれない。

 そんな中、一番面白く観れたのは、純子が祖母の葬儀で出会う祥子という女性だった。彼女は実にミステリアスなキャラで、その正体も含めて強く印象に残った。純子の運命は彼女と出会うことで更に混迷を極めていく。言わば、祥子は本作のキーパーソンであり、彼女が登場以降、映画はグンと面白くなっていく。

 また、笑いも所々で面白いものが見つかった。本作は基本的には、純子が酷い目にあうことで笑いをとるブラック・コメディのスタイルをとっている。
 例えば、キセル乗車が運悪く見つかったり、コンタクトレンズをすし桶に落としてしまったり、道端で田舎のヤンキーに絡まれたり、純子は様々なトラブルに見舞われる。これを面白いと思えるかどうかは人それぞれだが、個人的にはトッド・ソロンズやジェームズ・ガンの作品に似た奇妙な可笑しさが感じられた。少し”意地の悪い見方”と言えばいいだろうか‥。

 喜劇の根本には、他人の不幸を見て笑うという人間の”イヤらしい心理”がどこかで働いているように思う。チャップリンの映画などはその典型であろう。そういう意味では、今作のブッラクなギャグも、人間のこの”イヤらしい心理”を上手く突いているように思った。

 こうしたブラックな笑いは、後の矢口作品を見慣れている人にとっては、かなり異質に写るだろう。今となっては考えられない作風だからである。しかし、彼は初期時代にはこうしたちょっと癖のある作品を撮っていた。西田尚美が金の亡者となって巻き起こすドタバタコメディ「ひみつの花園」(1997日)や、アルバイト青年と地味な看護婦がヤクザの金を奪って逃走する「アドレナリン・ドライブ」(1999日)。これらの作品にも、やはりブラックなテイストは漂っている。現在の作風と少し違うので比較してみると興味深いと思う。

 俳優陣は、ほとんど無名の新人で固められている。しかし、脇役にMr.オクレや泉谷しげるといった癖のあるタレントが出演しているので、そのあたりは見所である。特に、Mr.オクレの情けない父親役は中々に良い味を出していた。
[ 2017/03/27 01:41 ] ジャンルコメディ | TB(0) | CM(0)

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