映画ありのまま

こんにちはorはじめまして、ありのと申します。 ここは見た映画について気ままにレビューを垂れ流すブログです。

アニマル・キングダム

2017.08.20(00:47)
孤独な少年が犯罪社会に堕ちていく青春ドラマ。

「アニマル・キングダム」(2010豪)星3
ジャンル青春ドラマ・ジャンルサスペンス
(あらすじ)
 オーストラリアのメルボルン。高校生ジェイは、母と2人で穏やかな生活を送っていたが、ある日母が薬物の過剰摂取で死んでしまう。途方に暮れたジェイは、母が遠ざけていた実家の祖母ジャニーンの家に世話になることになった。ところが、ジャニーンには3人の息子たちがいて、彼らは強盗や麻薬密売の常習犯だった。ジェイはそんな彼らに翻弄されながら次第に人生を狂わされていく。

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(レビュー)
 「アニマル・キングダム」という奇妙なタイトルに惹きつけられるが、これは何を意味しているのだろうか?映画を見ながらずっとそのことを考えていた。

 そして、その答えは次第に分かってきた。要するに、このタイトルは主人公ジェイの周囲にいるジャニーンたちのことを指しているのであろう。彼らは世間から離れて生活している犯罪者集団で、自分たちの”王国”を築いている。人殺しも強盗も屁とも思わない、人間の皮を被ったアニマル(獣)のような無法者たちである。

 そして、もう一つはジャニーンを初めとした犯罪者たちが蠢く”闇社会”のことも指していると思った。彼らは常に警察との抗争や敵対するグループとの抗争に明け暮れている。誰もが身の危険を感じながらサバイバルしている。さしずめこれは弱肉強食の世界、まさに”アンマル・キングダム”というわけである。

 そんな過酷な世界の中で、孤独の身となったジェイは生きて行かねばならなくなる。いやはや、何とも不憫な話である‥。

 一人の純粋な少年が犯罪に巻き込まれて青春をズタボロさにされていく‥というドラマは、よくある話と言えばよくある話である。ただ、この映画はその少年の落ちていく先が犯罪者一家だった‥という所が面白く、単に犯罪映画としてでなく、ある種家族ドラマのようにも見れる。

 血の繋がりというものは大きい。家族だからこそ保てる信頼、他人には決して分からない強い絆というものが確実にあるからだ。
 母を亡くし天涯孤独となったジェイも、他に助けてくれる家族がない以上、仕方なくこの犯罪者一家の一員となるしかなかった。当然、若く非力な彼は、一家の言いなりになるしかなかった。そして、あれよあれよという間に、彼らの強固な絆の中に身も心も取り込まれてしまう。

 ただ、その一方で、そんなジェイを優しく保護してくれる大人達も本作には登場してくる。それが警察のレッキー巡査部長である。彼は強盗特捜班のリーダーで、ジェイをこの一家から救おうと尽力する。

 やがてジェイは”ある選択”を迫られる。自分の人生を台無しにしてしまった一家とはいえ、唯一の肉親であるこの家族の元に残り続けるか?それとも、親切なレッキー巡査部長に保護されて一家の情報を売り渡すか?

 しかして、彼は終盤にその決断を下す。
 ある程度予想はしていたが、この決断は見てて非常に辛かった。それは自分の人生を決定的に終焉させる行為であると同時に、共犯関係で一つにまとまっていた一家との繋がりを断ち切って家族その物を崩壊させてしまう、つまり再び家族を失う苦い決断でもあるからだ。心に傷を負った少年にとって余りにも厳しい選択である。

 ただ、遍く青春映画がそうであるように、少年少女の成長というテーマは、この”家族からの独立”がラストに提示されるものである。そういう意味では、この映画におけるジェイの決断にもそれが感じられた。ここが普通の犯罪映画とは違う所で、本作を家族ドラマへと昇華している部分である。何とも言えぬ趣を残す。

 映画のラストは、ジャニーンがジェイを抱擁して終わる。それを見て自分は複雑な感情に駆られた。果たしてジェイのこれからの人生はどうなってしまうのだろうか?彼の胸に去来するのは後悔か?それとも開放感なのか?見終わった後に色々と考えさせられてしまった。

 製作・監督・脚本はD・ミショッド。本作が彼の長編初監督作品である。演出は基本的にドキュメンタリータッチに拠っていて、非常に緊張感のある画作りが貫かれている。但し、所々でスローモーションを駆使しながらメロウなタッチを入れてくるので、かなり”情熱的”な作家なのではないかという印象を持った。

 キャストでは、ジェイを演じた青年が印象に残った。ほとんど表情を崩さないポーカーフェイスを決め込んでおり、そこが見る側の感情移入を拒むような所がある。したがって、全体的にドライな印象を持った。ただ、逆にこの物調面が年相応の荒んだ少年の心の内をリアルに体現しているとも言える。おそらくこれは監督の演出プランではないだろうか‥。

 また、レッキー巡査部長を演じたガイ・ピアースの渋い佇まいも中々に良かった。彼は「ロックアウト」(2012仏)といった派手なアクション映画に主演する一方で、こうした地味なインディペンデント映画にもよく出演している。今回は静かな演技に徹している。

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