映画ありのまま

こんにちはorはじめまして、ありのと申します。 ここは見た映画について気ままにレビューを垂れ流すブログです。

親密さ

2017.09.19(21:27)
すれ違う男女と彼らが上演する舞台を2部構成で描いた計4時間超えの大作。
「親密さ」(2012日)hoshi2.gif
ジャンルロマンス
(あらすじ)
 恋人同士である令子と良平は、共に同じ劇団の演出家であり、このたび新作の準備に取り掛かっていた。しかし、2人の意見は食い違い稽古は思うように進まなかった。一方、彼らはプライベートでもすれ違いを見せ、ついに良平が演出から降りてしまう。その頃、朝鮮半島では南北の境界線上で紛争が勃発する。主演俳優の三木は韓国に住んでいる兄夫婦の身を案じて舞台どころではなくなってしまう。

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(レビュー)
 監督・脚本は「ハッピーアワー」(2015日)の濱口竜介。本作は氏が講師を務めるENBUゼミナールの映画俳優コースの卒業制作として作られた作品である。出演しているのはそこの生徒達でほとんどが無名の俳優である。

 映画は劇団員たちの人間模様を描く第1部と、彼らが実際に上演する舞台を写す第2部で構成されている。中々実験的で面白い構成だと思った。
 ただ、基本的にメインとなるのは第1部の方であり、本作は令子と良平の関係を軸にした恋愛ドラマとなっている。実験的な構成であるが、ドラマ自体はよくある物に思えた。

 その第1部は、彼らが演出する新作演劇の稽古風景と、二人の日常描写を交互に映しながら進行していく。濱口監督はロングテイクを駆使しながら演者の演技を生々しく切り取っており、2人の心の襞を臨場感たっぷりに描いて見せている。まるでドキュメンタリーでも見ているかのような生々しさが感じられた。

 特に、第1部のクライマックス。令子と良平が深夜の街を歩くシーンが印象深かった。2人は電車を降りて帰路の途につくのだが、それを延々と1カット1シーンで切り取っている。およそ20分程度あるだろうか。二人のたわいもない会話を延々と映しながら、カメラはやがて奇跡的な光景を拾い上げていく。夜空が白々と明け画面が朝焼けの光に包まれていくのだ。
 ここは険悪だった二人の関係が徐々に修復されていくという、ドラマ的にも最も盛り上がるシーンとなっている。それが暗闇から夜明けにかけてのロングテイクによって、一層の臨場感とドラマチックさが増し、このシーンにある種の神々しさと尊さを与えている。自分にとっては正に”奇跡”の1ショットのように思えた。日の出のタイミングに合わせて撮影した濱口監督の演出に感服してしまう。

 一方で、この第1部では途中から朝鮮半島の戦争という大きな事件が起こる。それによって主演俳優は降板し、彼らの舞台は上演の危機に追い込まれてしまう。確かに昨今の北朝鮮情勢を考えると一定のリアリティはあるものの、果たしてこのドラマにこの設定がどこまでの必然性をもって見る側に迫って来るかは疑問に思えた。それまでのリアリティ重視な作りからすれば、かなり違和感を覚えざるを得ない。

 第2部は、令子たちが作り上げた舞台の上演を丸ごと描く、言わば”演劇そのもの”のドラマとなっている。この演劇は、孤独な兄と、離れ離れに暮らす妹が父の命日に偶然再会するという所から始まる。小劇団らしいミニマムなセットは仕方ないにしても、頭でっかちなセリフ回しが多いせいか、個人的には今一つ感情移入するまでには至らなかった。例えば「尊敬」と「尊重」は違う‥みたいないことを言われても、今一つピンと来ない。

 しかも、兄と妹には夫々に交際しているパートナーがいて、彼らも登場してきて延々と痴話喧嘩を披露する始末である。これにも全く興味を持てなかった。

 更に、兄の方は詩を書くのが趣味なのだが、それを読み上げるシーンが2箇所ほど出てくる。これもやたら冗長で退屈してしまった。

 先述したように、元々本作は映画俳優コースの卒業制作として製作された作品である。おそらくだが、若い俳優たちの演劇の様子をなるべくリアルタイムで映し出そうという試みから、この第2部は始まっているのだろう。確かにその野心は理解できる。しかし、面白い演劇であれば幾ら長くても平気だが、正直な所、今作の演劇は内容が陳腐な恋愛群像劇で自分にとっては退屈そのものだった。

 以前観た「ハッピーアワー」の時にも思ったのだが、リアリティ重視な濱口監督の演出は、時に光るものもあるのだが、極稀に冗長に感じてしまう時がある。「ハッピーアワー」で言えば朗読会のシーンがそうである。ここはドラマ的には決して重要なポイントというわけではない。サラリと描いても特に問題のないシーンである。それなのに敢えてリアリティを出そうと、ありのままに描いている。
 決して商業的な成功を見越して作られた作品でないことは、5時間を超える上映時間の長さからも分かる。しかし、そうとは分かっていても、このシーンは只の”水増し”という印象が拭えなかった。

 このように第2部は自分にとっては少々厳しい内容だった。もっとコンパクトにまとめることが出来たら、そこそこ面白く観れる演劇だったかもしれないが、リアリティにこだわり過ぎてしまったために退屈してしまった。

 ラストは、第2部の上演の2年後を舞台にしたエピローグとなっている。
 これもドラマチックと言えるかもしれないが、前半のリアリティ重視の演出などを考えると、やや浮足立った”偶然”に映ってしまった。
 ただ、音楽の使い方やカメラワークの躍動感などには目を見張るものがあり、カタルシスという点では中々の物である。見終わった後には静かな余韻に浸ることが出来た。

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