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ダンケルク

奇跡の救出劇を描いた戦争巨編。
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「ダンケルク」(2017米)star4.gif
ジャンル戦争・ジャンルアクション
(あらすじ)
 1940年、フランス北端の港町ダンケルク。ドイツ軍の侵攻により英仏連合軍40万の兵士たちは絶体絶命の窮地に追い詰められていた。自国の救助船の到着を待ちながら敵の攻撃を耐え凌いでいたが、すでに多くの犠牲者が出ていた。若き英国兵トミーは海岸で出会った青年兵と共に、負傷兵で溢れかえった救助船に潜り込もうとする。ドーバー海峡を挟んだ対岸のイギリスでは、民間船の船長ドーソンが息子とともに兵士の救出に向った。一方、最新鋭戦闘機スピットファイアのパイロット、ファリアーは味方の撤退を援護すべくドイツの戦闘機と激しい空中戦を繰り広げる。

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(レビュー)
 第二次世界大戦に起こった奇跡の救出劇を迫力の映像で描いた戦争映画。

 共同製作・監督・脚本はC・ノーラン。ノーランと言えば、これまでにもIMAXカメラでの撮影にこだわってきた監督である。IMAXのカメラは通常のカメラよりも大きくコストもかかるため中々一般的には普及しないのだが、それを彼はずっとやり続けている数少ない映画作家である。「インターステラー」(2014米)「ダークナイト ライジング」(2012米)に続き今回もそこにはこだわっていて、今回もIMAXカメラで捉えた迫力のある大画面と大音響が売りの作品となっている。

 しかして今回もIMAXで鑑賞したのだが、やはり臨場感と迫力が普通の映画とは段違いである。IMAXは通常料金よりも高いがそれに見合うだけの満足感が得られた。
 全編アクションの連続で、上映時間も106分と、これまでの彼の作品に比べると非常にタイトにまとまっているが、それでもこれだけの充実感を味わえたということは、やはり映像の完成度、密度のおかげだろう。はっきり言って、本作は劇場で観なければ損をする映画である。

 もっとも、日本の多くのデジタルIMAXシアターでは上下の40パーセントがカットされてしまうため、本来ノーランが追求した映像からは大分縮小されてしまっている。現在、それに最も近い映像体験をしたいのであれば、国内では大阪エキスポシティのレーザーIMAX一択となる。
 IMAX、IMAXと囃し立てられる本作であるが、その恩恵を受けられる映画館は実は世界的に言ってもほとんどなく、このあたりは如何ともしがたい所である。

 ノーランのこだわりはカメラや上映方式だけではない。昨今はCGIでいくらでも迫力のあるアクションシーンを作れるのに、彼は劇中に登場する戦闘機や艦船もとことんアナログにこだわっている。

 その最たるが、スピットファイアとメッサーシュミットのドッグファイトである。劇中では2度に渡って繰り広げられるが、これなどもCGで製作すれば簡単だしコストも安く抑えられるはずである。しかし、ノーランは敢えて本物を撮影することにこだわり、その成果は映像の質感や空気感、臨場感といった物に再現されている。

 また、海岸で救助を待ちわびる英仏の兵士たちも全部実写である。CGで付け足したせばいくらでもスケール感を演出できるだろうが、彼はそうしない。実は遠景の兵士は段ボールで作られたものである。はっきり言ってしまうと、それによって考証40万と言われる兵士が大分ショボくなってしまった感は否めないが、そこまでしてアナログにこだわったノーランの作家としての意地には首が垂れてしまう。こんな真似は並みの監督では決して出来ないだろう。

 一方、彼自身が書いたストーリーであるが、こちらは史実に即した救出作戦ということで、特にドラマ性が際立っているわけでもなく少々凡庸である。

 ドラマは3つの視点を交錯させながら展開される。
 一つ目は敗走する英国兵士から。二つ目は救出に向かう一般市民の目線から。3つ目は英国空軍のパイロットからである。夫々に1週間前、1日前、1時間前から始まっており、クライマックスでそれが集約されるという構成になっている。時制を交錯させるノーラン得意の構成になっており上手くカットバックされていると思った。
 但し、夫々に全く異なる時間軸なので、何故このエピソードは夜なのに、こっちのエピソードは昼のままなのか?といった混乱は生じるかもしれない。もう少し丁寧な事前の説明は必要だっただろう。

 また、これは個人的な好みになってしまうのだが、クライマックスは少々ヒロイック過ぎるという感じがしてしまった。奇跡の救出作戦として史実に忠実に再現するのであれば、燃料切れになったスピットファイアの”ダメ押し”的活躍は過度であろう。もちろん、映画であるからある程度のカタルシスはあって当然で、何から何までリアルに再現しろとは言わない。しかし、だとしてもここだけは蛇足に映ってしまった。

 それと、ノーランのアクション演出で今回不満に思ったことが1点だけある。クライマックスで沈没する商船から脱出した兵士たちが重油まみれになって海を泳ぐのだが、顔が真っ黒なので一見して誰かというのがよく分からなかった。ここもリアルに再現しようとしたのかもしれないが、見てて混乱してしまう。

 音楽はノーラン作品の常連ハンス・ジマーが今回も担当している。彼の音楽は抑揚がきつく、作品によってはトーンを壊しかねない場合があり、前作の「インターステラー」は正にそうだった。しかし、本作ではそういった違和感は抱かなかった。本作は要所で秒針音が流れるのだが、これがヘンに音楽だけを浮かび上がらせるのを抑制しているのかもしれない。この秒針音は緊張感を上手く盛り上げていた。

 ちなみに、映画のラストは時計のネジを巻く音で終わる。この音はこれからの『再生』、『復興』を意味している‥と捉えた。つまり、要所で被さる秒針音は戦いが終わるカウントダウンということが分かり、なるほどと思え、そこに音の演出の妙を感じてしまう。
 よく言われることであるが、戦争は始めるのは簡単だが終わらせるのは難しいと言う。そう思って聞くと、この切迫感を煽る異様な秒針音は、振り返ってみればまた別の意味のように捉えられて不思議と嫌な感じが払拭される。見事な”音”の演出と言えよう。
[ 2017/11/14 00:35 ] ジャンルアクション | TB(0) | CM(0)

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