話題の感動アニメ劇場版。

「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」(2013日)
ジャンルアニメ・ジャンルファンタジー・ジャンル人間ドラマ
(あらすじ) じんたん、めんま、あなる、ゆきあつ、つるこ、ぽっぽは“超平和バスターズ”を名乗り、秘密基地でいつも一緒に遊ぶ仲良し6人組だった。ある日、めんまが事故で亡くなり、残された5人はそれぞれに後悔や未練を抱えたままバラバラになってしまう。それから5年後、引きこもり状態の高校1年生じんたんの前に、姿だけが成長しためんまの幽霊が現われる。
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(レビュー) 2011年にテレビシリーズとして放送された同名アニメの劇場版。テレビから1年後を舞台にした後日談となっている。
一見さんには少々厳しい内容なので、あらかじめテレビ版を見た上で鑑賞した方がいいと思う。
一応、夫々の視点で過去の回想は描かれるが、それだけでは情報として不十分である。例えば、何故ゆきあつがめんまの格好をしているのかは、本作を見ただけではよく分からないだろう。これは彼がめんまの事故死に大きく関係していたからであり、そのあたりの詳細はテレビシリーズを見ていないと理解できないと思う。
また、本作にはめんまの事故死を描写するシーンは一切出てこない。ここはテレビシリーズでも敢えてぼかした表現に留められており、視聴者が想像するように作られていた。しかし、この映画版ではそれすらもカットされているので、かなり不親切な内容となっている。
物語は1年前のダイジェスト(回想)と現在のドラマの交互で構成されている。
この「あの花」はテレビ放映時から、感動できるという評判でかなり話題となり自分もリアルタイムで観ていた。その後も人気は衰えず、こうして劇場版が製作され、その2年後には実写化もされた。テレビ放映時は毎週続きが気になり夢中になって見た記憶がある。
しかしながら、今回改めてこうしてダイジェストで見せられる、どうにも泣かせるシーンの連続で白けてしまう。前半は10分に1回は誰かが泣いている状態で、さすがにこれでは涙の押し売りである。逆に全然泣けない。
加えて内心をすべからく声に出して発してしまうので、情緒が全く感じられなかった。そんな恥ずかしいセリフを声に出して言うか?という思いが沸き起こってしまい、全て嘘っぽく聞こえてしまうのである。
テレビではもっとじっくりと時間をかけて引き出されるセリフなのでリアリティが感じらた。しかし、ダイジェストだと同じセリフでも全く感動できないのである。
一方、現在パートのドラマも、まるで取ってつけたような後日談で味気なかった。じんたん達は過去を振り返るのみで未来を見つめようとしない。過去に捉われて悔恨するようなドラマは決して珍しくはなく、自分もたくさん観てきた。しかし、その多くはラストで何かを得て終わる。登場人物たちは何か”変化”をして終わる。それがドラマというものだと思う。
しかし、本作にはそれが無い。過去を振り返るだけで主人公たちが”変化”するわけでもなく中途半端なまま終わってしまっている。
テレビ版は非常に面白く観れたが、この劇場版ではその域から一歩抜き出るどころか逆に後退してしまっているような気がした。結局一番感動したのはテレビシリーズのクライマックスシーンと同じであり、何か新しい発見をすることは出来なかった。
これなら完全新作で新しいドラマを見せてくれた方が楽しめたのではないか‥と少し残念な気持ちになった。