FC2ブログ

映画ありのまま

こんにちはorはじめまして、ありのと申します。 ここは見た映画について気ままにレビューを垂れ流すブログです。

苦い銭

2018.03.12(00:54)
中国の出稼ぎ労働者に迫った辛辣なドキュメンタリー。
pict339.jpg
「苦い銭」(2016仏香港)星3
ジャンルドキュメンタリー・ジャンル社会派
(あらすじ)
 中国東海岸にほど近い浙江省湖州。縫製工場が建ち並ぶこの街には多くの出稼ぎ労働者たちが住んでいた。15歳の少女シャオミンを初め雲南省の若者たちも長距離列車に揺られてここへやってきた。しかし、過酷な現実が彼らを襲い、中には逃げ出す者もいて‥。

ランキング参加中です。よろしければポチッとお願いします!

FC2ブログランキング
にほんブログ村 映画ブログへ人気ブログランキングへ

(レビュー)
 中国の出稼ぎ労働者の実態を生々しく切り取ったドキュメンタリー映画。

 監督はワン・ビン。前作「収容病棟」(2013香港日仏)で雲南省にある精神病棟の隠れた生態を緊張感みなぎる映像で切り取った彼が今回選んだ題材は、過酷な労働環境でもがき苦しむ出稼ぎ労働者たちの私生活である。低賃金&重労働に縛られる彼らの日常を、淡々と映しながら、現在の中国の下層労働者たちの実態を浮き彫りにしている。前作にも言えることだが、ワン・ビンが目指すテーマはここでも一貫している。それは現代中国の”闇”である。検閲が厳しい中国を舞台に、こうした大胆な創作を続けること自体驚きだが、それを常に実践しているのが、このワン・ビンという映像作家である。今回も圧倒されてしまった。

 とはいえ、我々日本人の中には、こうした過酷な労働環境の実態については、各種報道を見聞していれば何となく感付いている人は多いのではないだろうか。何しろあらゆる所に低価格な中国製の製品が並んでおり、且つ日本企業が安い労働力を求めて中国に進出していることは周知の事実である。そのことを考えれば、ここで描かれている下層労働者たちの実態はさもありなんという風に観れる。こういう言い方はどうかと思うが、今回は題材選定に余り新味が感じられなかった。
 ただ、世界第2位の経済大国に登り詰めた中国の格差社会がここまで酷い状況にあるということについては改めて衝撃を覚える。

 ちなみに、本作はヴェネチア国際映画祭のオリゾンティ部門でドキュメンタリー映画でありながら脚本賞を受賞している。普通ドキュメンタリー映画に脚本など存在しないと思うのだが、おそらくは構成的な面で評価されたのだろう。

 映画に登場するのは雲南省から出てきた若者たち、縫製工場で働く老若男女、服を梱包する夫婦たちである。彼らの日常を関連させながら映画は展開されていく。これがほとんど劇映画に近い作りになっている。

 例えば、映画前半で縫製工場で働く男が夫婦喧嘩を仲裁するシーンが出てくる。その仲裁した彼が、後半で故郷に残してきた妻に対する恋しい気持ちを吐露する。前半の夫婦喧嘩のシーンが伏線として働いているせいで、その言葉にはより一層の重みが感じられた。これは実に劇映画的なストーリー構成である。

 あるいは、一緒に雲南省から出てきた少年少女の別離もドラマチックである。少女の方はいつの間にか仕事をテキパキこなすほど慣れるのに対して、少年の方は過酷な労働に馴染めずたった1週間で帰郷してしまう。この運命の分かれ道も何とも言えぬ抒情をもたらす。

 映画のラストも非常に面白い。詳細は伏せるが、ラストカットはある人物が”何か”を必死になって探す姿で終わる。その”何か”は映画の最後まで判明しない。
 ただ、それは彼ら出稼ぎ労働者たちにとっての”希望”を象徴しているのではないか‥という気がした。人生の価値を決めるのは”金”ではない。もっと大切な物があるのではないか。人間らしく生きる上で本当に必要なもの。それを皆見失ってしまっているのではないか?そんな憂いのメッセージが、このラストから感じ取れた。
 映画の”結”としては見事なまとめ方である。

 このように本作はドキュメンタリーでありながら、出稼ぎ労働者たちが抱える問題を一つ一つ丁寧に掘り下げることによって、一種の群像ドラマのように観れてしまう。おそらくそういった所がヴェネチアで評価されたのではないかと思う。

 尚、カメラワークも中々秀逸で、酒に酔った中年従業員が社長に未払いの給料を請求しに行くシーンは中々スリリングだった。彼は大きなハサミをちらつかせながら工場の中をウロウロする。カメラのフレームは彼が持ったハサミを片時も捉えて離さない。そのハサミで何か取り返しのつかないことを起こすんじゃないか‥とハラハラさせられた。単なる偶然の産物かもしれないが、ここもある種劇映画的な興奮に満ちており目が離せなかった。

<<希望のかなた | ホームへ | 2018俺アカデミー賞

コメント












管理者にだけ表示を許可する
トラックバック
トラックバックURL:
http://arino2.blog31.fc2.com/tb.php/1646-8b0f0b76
| ホームへ |
プロフィール

ありの

Author:ありの
ジャンルを問わず色々と映画を見てます。
ここはそんな私の映画レヴューのブログです。
良い映画との出会いを求めながら、日々散策する毎日。
そして、思ったこと、感じたことを気ままに書いてます。

評価基準

一目で分かるように独断と偏見で5段階評価をつけてます

 殿堂級
 傑作
 まあまあ
 今一つ
 ダメダメ

最近の記事
ジャンルカテゴリー
索引

・洋画
    
    
    
    
    
    
    
  
    

・邦画
    
    
    
    
    
    
    
  
    

最近のコメント
最近のトラックバック

月別アーカイブ(タブ)

FC2カウンター

ブログランキング

よろしければポチッと お願いしま~す!

FC2Blog Ranking にほんブログ村 映画ブログへ人気ブログランキングへ