映画ありのまま

こんにちはorはじめまして、ありのと申します。 ここは見た映画について気ままにレビューを垂れ流すブログです。

ビューティフル・デイ

2018.06.22(00:40)
「タクシードライバー」と「バッファロー’66」を足して2で割った感じ?
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「ビューティフル・デイ」(2017英)star4.gif
ジャンルサスペンス
(あらすじ)
 元軍人のジョーは行方不明者の捜索依頼を受けながら年老いた母と2人暮らしをしている。ある日、警察沙汰にしたくない州上院議員から、10代の娘ニーナを売春組織から取り戻してほしいと依頼される。さっそくハンマー片手にニーナが囚われている娼館に乗り込み無事に救出するが…。

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(レビュー)
 孤独な中年男が少女売春犯罪に巻き込まれていくクライム・サスペンス作品。

 本作を観て真っ先に思い出したのが「タクシードライバー」(1976米)だった。
 退役軍人の主人公がPTSDに病んでいること。彼が売春宿から少女を救出するという筋立て。事件の背景に政治家が関係していること。これらは全て「タクシードライバー」に共通する点である。
 しかも「タクシードライバー」ほどではないが、バイオレンスシーンもかなり生々しい。映像の質感もどことなく70年代風で、舞台がニューヨークという所も共通している。

 本作は同名の原作(未読)がある。そちらがどうなっているのか分からないが、少なくとも本作はかなり「タクシードライバー」を意識して作られているような気がした。

 監督・脚本は女流作家のリン・ラムジー。彼女は監督デビュー作である「ボクと空と麦畑」(1999英)から大きな特徴を持った作家だった。フラッシュバックや妄想、心象を巧みに駆使しながらセリフに頼らない映像先行の演出指針がはかられている。

 大変寡作な作家で、監督第2作の「モーヴァン」(2002英)は3年後に完成。未見ではあるが、第3作の「少年は残酷な弓を射る」(2011英)は9年という歳月を経て完成させている。そして今回の4作目は6年振りの新作となる。

 これだけ間隔が空いてしまうのには色々と理由があると思う。監督が全ての作品の脚本を自身で書いていること。クセの強い作家性のため製作資金に苦慮していること。独自の製作体制を貫く彼女の場合、作品作りは困難をきたすものなのかもしれない。
 それでもオリジナリティな作風を極めんとする、その姿勢には首が垂れる。

 演出は先述したように独特の幻想性を交えながら実に堅実に整えられている。

 一番印象に残ったのはバイオレンス・シーンの演出だった。直接的に描くのではなく、敢えて婉曲的に描いている。
 例えば、数台の監視モニター越しに捉えたり、暴力そのものをカットして事後の現場しか写さないことで事の次第を全て分からせたり…。「タクシードライバー」のスコセッシと違う点はここだ。本作には女性監督ならではの”デリカシー”が感じられる。

 ちなみに、音の演出も非常に面白く、先述の監視モニターで捉えた暴力シーンはカメラが切り替わるごとに現場に流れる音楽が微妙にずれている。この異化効果がシーンの生々しさ、居心地の悪さに繋がっていて面白かった。

 セリフを極力排した分、本作は音楽がかなり主張していると思った。
 音楽を担当したのはレディオ・ヘッドの活動でも知られるジョニー・グリーンウッド。重低音&インダストリアルな不穏な音が映画全体に沈痛な面持ちとスリリングさをもたらしている。映像と音のコンビネーションは本作の大きな醍醐味ように思う。

 劇中歌の使い方も面白い。中盤でジョニーの家の台所でかかるシャーリーンの「愛はかげろうのように」は何とも不思議な味わいを残す。凄惨な場面に美しく悲しいメロディを対位的に流すという手法はよく使われるが、このシーンもその理屈で観ることが出来る。
 そして、後で歌詞を調べて分かったのだが、この歌はニーナのことを歌っているのだ。実に計算された選曲である。

 一方、ストーリーで多少に引っかかる部分があり、そこは観てて少し気になってしまった。
 まず、第一に人が死に過ぎである。これだけ死体が無造作に転がれば、大きな事件になってしかるべきであるが、そうはならない。はっきり言うとリアリティに欠けるストーリーだと思った。本作はカンヌ国際映画祭で脚本賞を受賞しているが、それが今一つ納得できなかった。

 もっとも、これまでのリン・ラムジー作品にも言えることであるが、彼女は基本的に物語を寓話として捉えているような所がある。「モーヴァン」などはその最たるものだったが、本作もPTSDの中年殺し屋が、ある種悪夢に振り回される物語とも捉えられる。つまり”お伽噺”として捉えれば、このリアリティラインの甘さは合点がいく。

 キャストではジョーを演じたJ・フェニックスの好演が素晴らしかった。孤独な中年男の苦悩を静かに体現している。彼もカンヌ国際映画祭で主演男優賞に輝いたが、こちらは納得の好演である。

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