洒落たロマコメの古典。
「新婚道中記」(1936米)
ジャンルロマンス・ジャンルコメディ・ジャンル古典
(あらすじ) ジェリーとルーシーは新婚真っ只中である。しかし、ジェリーが出張先で羽目を外してしまう。一方のルーシーも若い音楽教師と外泊していた。それを知ったジェリーは激怒する。こうして二人は裁判で離婚を結審する。ただし、手続きが完了するまで2カ月の猶予期間が設けられた。その間にルーシーはオクラホマ出身の牧場主から求婚され…。
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(レビュー) 新婚夫婦の離婚騒動を軽妙洒脱に描いたロマンチック・コメディ。
夫婦喧嘩は犬も食わぬというが、この映画にはとてもチャーミングな犬が登場してくる。ジェリーとルーシーが飼っているミスター・スミスという飼い犬だ。離婚争議でルーシーに引き取られることになるのだが、ジェリーはスミスに面会する権利を与えられ時々ルーシーの元を訪れることになる。ミスター・スミスは離れ離れになった2人を取り持つ”きっかけ”となる重要なサブキャラであり、中々の名演を見せてくれる。調教がよく行き届ている。
物語自体は、いわゆる三角関係を軸にした夫婦のすれ違いを描く物語である。よくある話だが、所々の軽妙な会話が心地よいため終始楽しく観れた。
元の鞘に戻るハッピーエンドも想定内とはいえ収まりが良い。終盤のドアを挟んでの夫婦のやり取りに割って入る黒猫の演出が上手い。
先述した飼い犬のスミスやこの黒猫、そしてジェリーの帽子など、本作は小道具の使い方も抜群に上手い。古典的な作品であるが今観ても十分に通用するエンタメ性が感じられた。
一方、ルーシーの後半の奔走については、やや説得力に欠けるという気がした。もっと丁寧に描く必要があったのではないだろうか。
製作・監督はレオ・マッケリー。彼は「めぐり逢い」(1957米)やマルクス兄弟の「我輩はカモである」(1933米)などを撮り上げた名監督である。コメディやロマンスを得意とする作家で今回も安定した手腕を発揮している。
キャストではジェリーを演じたケーリー・グラントの妙演が流石だった。