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パワープレイ

架空の国の軍事クーデター作戦をスリリングに描いた傑作!

「パワープレイ」(1978英カナダ)star4.gif
ジャンルサスペンス・ジャンルアクション
(あらすじ)
 ヨーロッパの某国で大臣の誘拐事件が起きた。秘密警察長官ブレア―はテロリストを次々と吊し上げていくが、中にはまったくの無関係者もいて無残な犠牲者を出していった。その中には陸軍大佐ナリマンの友人の娘もいた。彼はこれ以上の犠牲者を出さないために、戦術に長けたルソー教授と共にクーデター作戦を開始していく。

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(レビュー)
 ヨーロッパの架空の国を舞台にした軍事クーデター事件を緊迫感みなぎるタッチで描いたアクション作品。

 序盤はやや退屈するが、ナリマンが様々なプロフェッショナルを仲間に引き入れてクーデター作戦を計画していくあたりから面白くなっていく。集められた人物は夫々に曲者揃いで、秘密警察の目を盗んで反政府組織が構成されていく過程がジックリと描かれている。

 中盤からは、戦車隊を率いるゼラー大佐が登場する。このゼラー大佐はかなりの”やり手”で、それゆえ周囲から嫌われている”変わり者”である。彼の扱いを巡っては組織の中でも意見が分かれ、ナリマンも悩みの種となっていく。しかし、今回の作戦では戦車部隊の働きはどうしても必要であり、彼の力なくして作戦の成功はない。
 これをP・オトゥールが怪しさ全開で演じている。彼が登場して以降、物語は俄然ヒートアップしていく。

 そして、後半からいよいよ軍事作戦の決行となる。
 ここで見所となるのは、先述した作戦のキーマン、ゼラー大佐率いる戦車隊の活躍である。派手な砲撃戦とまではいかないものの、彼が率いる戦車大隊が市街地を練り歩く光景は実に壮観である。特に彼が乗った戦車が荘厳な宮殿に乗り込んでいく絵面は圧巻で、ちょっと他の映画では観れない光景である。興奮させられた。

 また、クーデター作戦は全部で三部隊に分かれて行動することになる。一つは先述のゼラー大佐率いる戦車隊。もう一つは空港の閉鎖を目的とした部隊、もう一つは通信基地の占拠を目的とした部隊である。彼らの行動は綿密な連携が必携であり、どこか一つでも狂ってしまうと作戦全体が失敗してしまう。
 しかし、そこは映画であるから当然すんなりといくはずがない。彼らは途中で思わぬアクシデントに見舞われる。果たしてそれをどうやって切り抜けるのか?そのあたりもこの映画は実にスリリングに描いている。最後まで目を離せなかった。

 一方、ナリマン達の作戦を阻止せんと立ちはだかるのが秘密警察のブレア―長官である。
 こちらはD・プレザンスが演じている。冷酷無比で沈着冷静。何事にも動じない憎たらしい役を不敵に好演している。彼の顛末も見ものである。実に皮肉が効いていた。

 また、この手の隠密作戦には必ず仲間の”裏切り”はつきものである。これも常套であるが面白い。ヒルズマン大尉の盗聴器のクダリには観ているこちらもまんまと騙されてしまった。彼の見顕しは実に痛快である。

 また、反政府組織の隠れ蓑となる施設には清掃員が出入りしているのだが、この正体にも一杯食わされてしまった。意外なサプライズである。

 更に、何と言ってもクライマックスのどんでん返し。これには思わず見ているこちらも声を上げてしまった。
 クーデターで国を改革しようとした崇高な戦いが、まさかこのような結果に終わるとは‥。これでは何のために皆が苦労して戦ってきたの分からない。この余りにも非情な結末は残酷で哀愁に満ちている。戦いの虚しさ、人間の愚かさ、正義の幻想といったものを痛感させられた。
[ 2018/11/05 00:20 ] ジャンルアクション | TB(0) | CM(0)

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