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ラッシュ/プライドと友情

F1レーサーたちの熱き戦いを描いた実録ドラマ。

「ラッシュ/プライドと友情」(2013米独英)star4.gif
ジャンル人間ドラマ・ジャンルスポーツ・ジャンルアクション
(あらすじ)
 ジェームズ・ハントとニキ・ラウダは、F3時代からの宿命のライバルだったが、その性格とレーススタイルはまるで対照的だった。天才肌のハントは酒と女を愛する享楽主義のプレイボーイ。対するラウダはマシンの設定からレース運びまで全てを緻密に計算して走る頭脳派。1976年、そんな2人がF1の年間チャンピオンを巡って熾烈なデッドヒートを繰り広げる。

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(レビュー)
 F1レーサーたちの熱き戦いを激しいレースシーンを交えて活写した実録ドラマ。

 自分はF1にはまったく興味はないのだが、それでもこの作品を最後まで楽しめた。それは対照的な男たちの愛憎が単純に面白く観れたからである。軽快且つアクションタップリに綴った構成も見事で飽きさせない。

 監督は職人監督のR・ハワード。彼はこれまでに実話の映画を何本も撮っていて、「アポロ13」(1995米)、「フロスト×ニクソン」(2008米)、「ビューティフル・マインド」(2001米)と夫々ヒットさせている。実話を元にするとどうしても事実に寄せることに注力するあまり、映画的な面白味が失われてしまう場合があるが、彼が撮るとそのあたりがきちんとエンタメに昇華されているから感心する。事実は小説より奇なり、という言葉を地でいくような面白さがある。

 今作は天才レーサー、ハントとラウダの出会いから、世界最高峰の舞台であるF1サーキットでの戦いを一気に見せる構成になっている。夫々の視点で紡ぐ序盤でキャラクターを明確に確立しつつ、中盤で激しいデッドヒートを繰り広げ、後半でラウダの事故という劇的な展開を持ってくる。このまるで”作った”かのような三幕構成は、まさにR・ハワードの面目躍如といった感じである。実話をベースにしながら、彼は”物語”としての面白さを引き出すテクニックを持っている。単にダラダラと二人のドラマを展開させるのではなく、ことごとく対立させながら盛り上げていく構成が見事だ。そして、この構成があるからこそ、クライマックスの1976年の二人の対決がドラマチックなものとなる。

 最も印象に残ったのは、瀕死の事故から奇跡的なカムバックを果たしたラウダがハントと久しぶりに再会するシーンだった。あれだけハントのことを見下していたラウダがこう言う。

「君のおかげで生きる闘志が湧いた」

これにはグッときてしまった。ライバルがいてこその俺だ。そしてお前には絶対負けたくない。その気持ちが俺を死の淵から甦らせたんだ…。そんなラウダのハントに対する”感謝”の意と”挑戦”が感じられた。

 映像の繋ぎや、小物の配置、色彩の組み立て等、画面の作り込みも申し分ない。もちろんレースシーンも最新のCGIを駆使しながら迫力あるシーンに仕上げられている。

 ただ、クライマックスの日本グランプリのシーンで、おそらくアメリカのテレビ中継だと思うのだが、外の風景が明るかった。日本とアメリカの時差を考えると生中継という前提で考えればこれはおかしい。見てて不自然に映った。
 それと、復帰会見でラウダに失礼な質問をした記者にハントが暴行するシーンがあったのだが、あれも事実なのだろうか?仮に事実だとしたら後で訴えられたりしなかったのだろうか?そこが見てて気になってしまった。

 もっとも、エンタメ性を重視するR・ハワードのこと。このあたりはかなり脚色しているものと思われる。そもそもの話になってしまうが、2人は決して犬猿の仲というわけではなくF3の時代からかなり仲が良かったという話もある(wiki参照)。

 これを知ってしまうと、実話と謳う本作に嘘偽りあり‥と批判する人がいるかもしれない。ただ、そこはそれ。あくまで映画的な面白さを追求した結果こうなりましたと思えば腹も立たずに観れる。それにレースの事故自体は事実であり、そこからごくわずかな期間でラウダが不死鳥のごとく復活したことも事実なわけで、本作は決して全てが誇張されて描かれているわけではない。

 キャストでは、ラウダを演じたD・ブリュールが、孤高の天才ドライバーの素顔を好演している。妻との出会いで見せるユーモラスな演技も中々に良く、心のどこかでハントを求める複雑な心理も見事に表現されていた。今回は本人に似せるために特殊メイクを施して役作りしている。
[ 2018/12/10 00:22 ] ジャンル人間ドラマ | TB(0) | CM(0)

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