古典的名作4度目の映画化。違ったキャストで新鮮に観れる。
「アリー/スター誕生」(2018米)
ジャンルロマンス・ジャンル音楽
(あらすじ) 世界的なロックスター、ジャクソンはコンサート終了後に立ち寄った場末のバーで、ウェイトレスとして働きながら歌手を夢見るアリーと出会う。その類まれなる歌唱を気に入ったジャクソンは、彼女を自分のステージに立たせて歌わせる。これがきっかけでアリーは瞬く間にスターの階段を駆け上っていくのだが…。
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(レビュー) 世界的なロック歌手と才能あふれる女性シンガーが恋に落ちる音楽映画。
すでに何度も映画化されている名作なので知っている人も多いと思うが、かく言う自分も1作目は未見だが、それ以外は全て見ている。特に2作目のJ・ガーランド版はダイナミックな彼女のパフォーマンスに痺れた口である。
今回のリメイクは、世界的に有名なシンガー、レディー・ガガとハリウッドで活躍する人気俳優B・クーパーを擁して作られた作品である。
物語に関しては、ほぼこれまでと変わらないため、改めて何か新しい物を発見することは出来なかった。ただ、今回はジャクソンと兄の確執を少しだけフィーチャーしており、彼のキャラクターに深みを与えている点が新味である。終盤に彼が採る行動にドラマチックさを与えるという意味でこうしているのだろう。これは奏功している。
もっとも、その伏線張り(過去)はもっと周到にすべきだったと思うが…。
また、そのあたりの事情はきちんとアリーとの間で共有すべきだったように思う。もちろん彼女も情報としては知っていただろうが、必要以上に兄弟の仲に入って行かないため、メインの恋愛ドラマとの相関が余り上手くいってるようには思えなかった。
ガガ、クーパーの演技は共に素晴らしかった。特に、B・クーパーが大健闘している。吹き替えなしで歌も演奏もこなしている。今回の役作りのためにかなり特訓したのだろう。その努力の跡がうかがえた。
一方のガガも、歌唱力はお墨付きということで素晴らしいパフォーマンスを見せている。今まではあのケバケバしいメイクのイメージしかなかったのだが、今回はほとんどノーメイクで初演技を披露している。普段とのギャップから非常に新鮮に観れた。
尚、劇中で大きい鼻がコンプレックスだと言っていたが、これは第3作を意識してのことだろう。主演のB・ストライサンドも鼻が大きかった。確かにこうしてみると二人とも顔の造形が少し似ているかもしれない。
尚、B・クーパーは本作で監督、脚本も兼任している。初演出となるが、上手く抑揚を付けながら軽快に演出していると思った。基本的に本作は主演二人の芝居がメインになるのだが、そのやり取りに肉薄するカメラワークが秀逸だった。
ただ、逆にステージシーンではそれが仇となりダイナミズムが損なわれてしまった感がする。この辺りは功罪あろう。
おそらくだが、B・クーパーは”二人だけの世界”を強調したかったのだろう。リアリティを追求するのではなく寓話色を意識した作りが2,3作目とは少し毛色が違う。