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夢と狂気の王国

中途半端な作りで勿体ない。

「夢と狂気の王国」(2013日)hoshi2.gif
ジャンルドキュメンタリー
(あらすじ)
 スタジオジブリの宮崎駿、鈴木敏夫といった日本アニメ界を牽引してきた映画人たちの姿を切り取ったドキュメンタリー。

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(レビュー)
 映画のポスターに映っている宮崎駿、鈴木敏夫、高畑勲、彼ら3人の日本アニメ界における功績の大きさは、今更語るべくもないだろう。「となりのトトロ」(1988日)、「火垂るの墓」(1988日)、「おもひでぽろぽろ」(1991日)、「千と千尋の神隠し」(2001日)等、様々な傑作を生み出しており、その名は世界にまで轟いている。本作はそんな彼らの製作現場に迫ったドキュメンタリーである。

 但し、実際に映画を観てみると高畑勲の姿はラスト直前に少し映るだけである。映画のほとんどは宮崎駿と鈴木敏夫の二人だけに終始している。後で調べて分かったが、どうやら高畑勲は撮影を許可しなかったらしい。せっかくジブリの要たる3人の競演が観れると思っていたので、これは非常に残念だった。

 確かに本人が嫌と言えばそれは仕方のないことだが、そうであればポスターは宮崎駿と鈴木敏夫の二人だけにしておくべきだろう。これでは何だか騙された気分になってしまう。

 そういうわけで、本作は同時期に製作された宮崎駿の「風立ちぬ」(2013日)の製作舞台裏を描いたドキュメンタリーとなっている。

 自分は以前に「もののけ姫」(1997日)のメイキングをテレビのドキュメンタリー番組で観たことがある。宮崎駿はシナリオを書かず絵コンテで話を組み立てる作家である。その間、スタッフは作画を同時並行で進行し、スケジュールのギリギリまで絵コンテ作業は続く。そして、主要なカットは宮崎駿自らが作画する。この特殊な製作形態は、ハッキリ言ってかなり異様である。当時それを観て自分はかなり驚いたものである。

 本作にもこうした風景が次々と登場してくる。しかし、これらは過去にも見た風景であり、自分にとっては余り新味が感じられなかった。もう少し新しい発見があれば面白く観れたのだろうが、残念ながら製作の核心に繋がるような新しい”何か”は発見できなかった。

 それと、タイトルにある”狂気”もほとんど感じられなかったのも残念だった。高畑勲の製作現場からカメラを撤退させたことも含め、本作のプロデューサや監督は取材対象の深部まで肉薄できていないという印象を持った。

 唯一、ジブリの立ち上げ当時の記録映像やスチールが見れたことは収穫だった。
 花見の席でまだ若かりし宮崎駿が「狼少年ケン」の主題歌を楽しそうに歌っている姿が微笑ましく観れた。あの巨匠にもこんな時代があったのか…と。

 また、宮崎駿の長男・宮崎吾朗と本作のプロデューサー、ドワンゴの川上量生が口論する場面。「風立ちぬ」で映画監督の庵野秀明がキャスティングされる場面。この辺りも中々興味深く観れた。ノリノリの宮崎駿とは対照的に周囲の困惑した表情が印象的だった。

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