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ブラック・クランズマン

黒人と白人二人で一人の潜入捜査劇。
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「ブラック・クランズマン」(2018米)star4.gif
ジャンルサスペンス・ジャンル社会派
(あらすじ)
 1970年代前半のアメリカ。コロラドスプリングス警察署に初の黒人警官ロン・ストールワースが誕生する。早速、彼はブラックパンサーの集会に潜入し、そこで美しい活動家パトリスに接触する。その後、彼は白人至上主義の秘密結社KKKのメンバー募集の新聞広告を見つけて電話をかけ、支部代表と会う約束を取り付けた。しかし、黒人である彼が会うわけにはいかず、同僚の白人刑事フリップがその任務を負うことになる。こうして黒人のロンと白人のフリップがコンビを組んで前代未聞の潜入捜査が開始されることになる。

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(レビュー)
 KKKに潜入捜査をする黒人警官と白人警官の活躍を描いたサスペンス映画。
 本作の登場人物ロン・ストールワースの原作を元にした実話の映画化である。

 こんな事実があったのかと驚かされた。事実は小説よりも奇なりと言うが、まさに書こうとしてもこんなドラマはそうそう書けるものではない。この突拍子もないアイディアに脱帽である。

 ちなみに、以前「アンダーカバー・ブラザー」(2002米)という映画を観たことがある。本作と似たような潜入捜査物だったが、あちらは完全にカリカチュアされたコメディだった。本作にも幾つか笑い所はあるが、基本的には人種差別の歴史と現状を痛烈に皮肉った社会派的な作品になっている。受け取り方次第では鑑賞感は割と重めである。

 監督、共同脚本はS・リー。いかにも彼らしい”怒り”に満ち溢れた告発映画になっている。

 例えば、序盤のブラックパンサーの集会における演説は、黒人たちの”怒り”をかなりダイレクトに表現したものとして強烈に印象に残る。個人的にはもっと短くカットできたと思うが、リー監督はこの演説のシーンが重要と判断したのだろう。
 あるいは、最後のドキュメンタリー映像も、ドラマ的には必ずしも必要というわけではない。しかし、人種差別は現在も続いているということを観客に厳然と突きつけるという意味から挿入したのだろう。現にトランプ大統領誕生後、このことは顕著になっている。

 過去に「ドゥ・ザ・ライト・シング」(1989米)、「マルコムX」(1992米)等で、人権差別の問題を声高らかに告発してきたS・リーである。こうした強烈なアジテーションは予想できる所であるが、今回はそれを上手くまぶして作り上げていると思った。
 と同時に、白人と黒人が協力して排外主義者を打倒する所に一片の”希望”も感じられ、そこにリー監督の切望が確認できる。

 そして、この問題をサスペンスを基調としたエンタテインメントにくるめて料理しており、そこに彼の映画作家としての円熟味も認識させられる。シビア一辺倒ではなく、誰でも普通に観て楽しめる作品に上手く仕上げている。

 例えば、KKKにいつ身分がばれるかというハラハラドキドキの展開。この手の作品の醍醐味であるが、ツボを得たシチュエーション作りが中々心憎い。フリップが現場にいる時にロンの所へ電話がかかってくるというカットバックなどは、意外性に満ちた演出で驚かされた。

 確かにロンとフリップの声を聞けば別人であることがすぐに分かるじゃないか…という疑問もわくが、案外電話の声を判別するのは難しいものである。オレオレ詐欺ではないが、簡単に騙されてしまうKKKの幹部の間抜けさときたら失笑物で、そこがコメディの一役を担っている。何とも可笑しかった。

 クライマックスの盛り上げ方も堂に入っている。爆破活動とロンとパトリスのロマンス。この二つのドラマがボルテージを高め合いながら止揚していく構成が見事である。

 また、2人は今回の捜査を通して、それまで余り意識してなかった出自に真正面から向き合うことを余儀なくされていく。このアイデンティティ追及のドラマが本作に一定の深みをもたらしている。これも素晴らしかった。

 尚、劇中には様々な映画が引用されており、映画ファンならクスリとさせられるだろう。
 冒頭の「風と共に去りぬ」(1939米)を筆頭に、ブラックスプロイテーション映画の金字塔「黒いジャガー」(1971米)、「スーパーフライ」(1972米)、パム・グリア主演の「コフィ」(1973米)、そしてKKKの存在を世界に知らしめた「國民の創生」(1915米)。ストーリーに上手くはめ込まれていた。
[ 2019/06/05 01:54 ] ジャンルサスペンス | TB(0) | CM(0)

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