カルト的人気を誇るヒーロー映画。
「バカルー・バンザイの8次元ギャラクシー」(1984米)
ジャンルコメディ・ジャンルSF・ジャンルアクション
(あらすじ) アメリカ人と日本人のハーフで天才的脳神経外科医にしてロック・グループ“香港騎士団”のヴォーカリスト、バカルーは、実験中に偶然次元の壁を越えることに成功した。その頃、刑務所に服役中だった極悪人リザルドが脱獄する。実は彼は異次元からやって来たエイリアン一味のリーダーだった。リザルドたちは次元を超える装置を狙ってバカルーたちを襲うのだが…、
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(レビュー) スーパーヒーロー、バカルーと仲間たちの活躍を描くSFアクションコメディ。
かなり緩いテイストの映画で内容は突っ込みどころ満載。お世辞にもストーリーがよく出来るとは言い難い。
そもそもバカルーの設定からしてぶっ飛んでいる。バカルーと大統領のやり取りもコントのようであるし、エイリアンも余り強くない。こういうのは乗れないと、とことん乗れないものである。
ただ、こんな作りからか一部ではカルト的人気を誇っている。テイストとしてはアレックス・コックスの「レポマン」(1984米)を連想させるが、そちらもカルト映画として一部で熱狂的な支持を得ている。
監督は脚本家出身でこれが初監督作の新人らしい。どうやらもう1本だけ監督をしているようだが、キャリアとしてはこの2本どまりのようである。
一方、脚本家としては結構売れていて、SF映画の傑作「SF/ボディ・スナッチャー」(1978米)、R・レッドフォード主演の「ブルベイカー」(1980米)、J・カーペンターの異色作「ゴーストハンターズ」(1986米)等、様々なジャンルの脚本を書き上げている。おそらく脚本家としては結構優秀なのだろう。
しかしながら、残念なことに本作では監督は務めているが肝心の脚本は書いていない。別の人間が書いていて、この脚本がかなりデタラメで余り面白くない。
前半は異星人の目的が中々判明しないためドラマの方向性が定まらない。途中からバカルーの仲間として新たなキャラが登場するが、こちらも特段必要性が感じられなかった。また、要所でご都合主義が目立つ。
キャスト陣は今観ると大変豪華である。
バカルーを演じるのはピーター・ウェラー。後に「ロボコップ」(1987米)で大躍進を遂げる二枚目俳優である。
リザルドを演じるのはジョン・リスゴー。言わずと知れた名バイプレイヤーでアクの強い怪演を披露している。
他に、J・ゴ-ルドブラム、エレン・バーキン、クリストファー・ドイル、ヴィンセント・スキャベリ等、80年代を牽引したバイプレイヤーたちがこぞって顔をそろえている。彼らはいずれもこの映画を足掛かりにして出世していった。
ある意味で、後の名優たちが一堂に観れるお買い得な1本と言うことが出来よう。
尚、最後は次に続くような終わり方になっているが、残念ながらシリーズ化はされなかった。