ゴジラ、ギドラ、ラドン、モスラが迫力のバトルを繰り広げるアクション巨編!
「ゴジラ キング・オブ・モンスターズ」(2019米)
ジャンルアクション・ジャンルSF
(あらすじ) ゴジラと巨大生物ムートーの戦いから5年後。息子を失ったマークは妻エマと娘マディソンと別居していた。エマは特務機関モナークで怪獣とコミュニケーションがとれる装置の開発に当たっていた。そんなある日、エマとマディソンは装置と共に環境テロリストのジョナ一味によってさらわれてしまう。モナークの芹沢博士たちはマークに協力を仰ぎ、ジョナたちの行方を追うのだが …。
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(レビュー) 「GODZILLA ゴジラ」(2014米)から5年後を描く続編。尚、来年には
「キングコング:髑髏島の巨神」(2017米)で登場したコングと直接あいまみえる新作の公開が予定されている。
さて、今回はゴジラに加え東宝怪獣シリーズでお馴染みのキングギドラ、ラドン、モスラも登場するとあってかなり期待して観た。しかして、彼らのバトルは大変満足した。さすがにハリウッドである。CGIを駆使しながらド迫力の映像を作り上げている。
監督はマイケル・ドハディ。彼は今回、共同で原案、脚本も務めている。元々脚本家出身と言うこともあり、こうしたアクション大作でもドラマをきちんと作ることにこだわりを持っているのだろう。
今回はマークとその一家の軋轢を軸にストーリーが展開されている。前作から引き続き登場するモナークの芹沢博士同様、彼らも先の戦闘で深い傷を抱えながら怪獣たちの騒動に否応なく巻き込まれていく。バラバラになる一家の運命や如何に?というのがドラマ的な見所だ。
確かにやりたいことは分かる。ただ怪獣を出して暴れさせればいいと言うわけじゃない。そこには人間ドラマを入れなければお客は観てくれない。そういう意味から、今回このようなドラマを用意したのだろう。
しかしながら、個々の行動に今一つ説得力がないのは問題だと思った。彼らに共感を覚えられる人は果たしてどれだけいるだろうか…。
マークたちはモナークやテロリスト一味に懐柔されて、世界を左右するような”重大”な選択を迫られるようになる。派手な怪獣プロレスの袖で彼らの説得力のない喧々諤々が披露されるわけである。本当にこんな一家に世界の命運を任せて大丈夫なのだろうか?という疑念が観ている最中ずっと払拭できなかった。
個人的には、彼らのドラマよりも芹沢博士の後半の立ち回りに見所を感じた。彼がどれほどゴジラに対して愛憎の念を持っているのかは、前作を通してよく理解できるし、それこそ説得力が感じられる。彼こそが本ドラマのキーマンであり、裏の主人公と言えるのではないだろうか。
アクションシーンは前作同様、今回も素晴らしかった。かつての東宝特撮のオマージュも所々に見られるし、個々の怪獣のデザインもオリジナルに寄せているのでリスペクトが感じられた。
また、馴染の伊福部昭や小関裕而の劇伴が再現されていたのもファンとしては嬉しかった。
更に、本編には平成「ガメラ」シリーズや「大魔神」シリーズのパロディと思しき場面も見つかった。こういうのを見ると監督のマイケル・ドハディは相当の怪獣フリークではないか、という感じがした。次回作は未定だが、仮にシリーズが存続するのであれば、彼にもう1本ゴジラを任せてもいいのではないかという気がした。