一捻りある青春ロマンス物。人気ラノベの劇場用アニメ作品。
「青春ブタ野郎はゆめみる少女の夢を見ない」(2019日)
ジャンルアニメ・ジャンルロマンス・ジャンルファンタジー
(あらすじ) 高校2年生の梓川咲太は、同じ高校の先輩で人気女優の桜島麻衣と恋人になり幸せな生活を送っていた。そんなある日、咲太の初恋の女性である牧ノ原翔子が現れる。すでにこの世には中学生の翔子が存在することから翔子が2人になってしまい…。
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(レビュー) 人気ラノベ「青春ブタ野郎」シリーズの劇場用アニメ作品。2018年に「青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない」というタイトルでテレビ放映されており、今回の映画はその続編となる。
ちなみに、原作小説はこれまでに9巻刊行されており、今回の劇場版はそのうちの6,7巻の映像化である。
この手のテレビアニメからの派生作品は、どうしても一見さんには敷居が高いものである。自分は一応テレビシリーズを観た上で鑑賞したが、ここから入ろうという人にとっては内容をすんなり受け止めるのは難しいかもしれない。
人間関係はそれほど複雑ではないが、過去のドラマを知ってると知っていないとでは入り込み方が全然違うだろうし、本作のキーとなる”思春期症候群”の説明が劇中に一切ないため、そのあたりにも戸惑うかもしれない。
予めテレビシリーズを観た上での鑑賞がベターかと思う。
物語は、咲太と初恋の女性、翔子の関係を軸に展開されていく。この世界にはすでに中学生の翔子が存在しており、そこに大人の翔子が現れたことで咲太たちは振り回されることになる。
大人の翔子に隠された秘密は何なのか?咲太と麻衣の関係は彼女の登場で一体どうなるのか?そこが見所である。
テレビシリーズを観た自分から言わせてもらうと、今回の劇場版は90分という短い尺の中に無理なくドラマが詰め込まれていて構成自体はとてもうまくいっていると思った。
クライマックスにかけて二転三転する展開にも引き付けられたし、最後の締めくくり方も清涼感に溢れていて良かったと思う。
ただ、確かにそうポンポンと過去を書き換えられるのか…という突っ込みは入れたくなってしまう。ここを割り切れるるかどうかで本作の鑑賞感が大分違ってきそうである。自分はSFではなくファンタジーとして捉えた。
作画のクオリティは決して目を見張るようなものはない。スタッフがテレビシリーズと変わらないということもあろう。ほぼテレビと変わらないクオリティであり、劇場版だからと言って過度に作画密度が高いというわけではない。
本作は、思春期症候群というファンタジックな現象が起こる以外は、基本的には日常を舞台にした等身大の少年少女たちの青春ドラマである。そこから言えば、派手なシーンを期待するわけではない。ただ、欲を言えばもう少し日常の芝居に繊細な作画を求めたかった。表情やしぐさ一つで今回のドラマはグンと濃密さが増しただろう。