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映画ありのまま

こんにちはorはじめまして、ありのと申します。 ここは見た映画について気ままにレビューを垂れ流すブログです。

メランコリック

2019.09.01(00:46)
斬新な設定で描く青春クライムコメディ。
pict384.jpg
「メランコリック」(2018日)star4.gif
ジャンルサスペンス・ジャンル青春ドラマ・ジャンルコメディ
(あらすじ)
 東大を卒業したのに冴えないニート生活を送っている和彦は、たまたま訪れた銭湯で高校時代の同級生・百合と再会する。これをきっかけにその銭湯でバイトすることになった和彦だったが、実はそこは深夜になると人を殺す場所として利用されていた。それを知ってしまった和彦は…。

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(レビュー)
 バイト先の銭湯が人殺しの場所として貸し出されていた…という、非常にユニークな設定のブラック・コメディである。

 リアリティラインがかなりユルく設定されているので、そこを許せるかどうかが本作の賛否は分かれよう。
 どうしてあれだけ人が殺されているのに事件にならないのか?
 和彦の両親は彼のバイトのことを変に思わなかったのか?
 百合のキャラクターが都合良すぎるのではないか?
 終盤の東の心変わりが解せない等々。

 突っ込もうと思えばいくらでも突っ込める作品である。しかし、コメディと割り切ってしまえば、このあたりのユルさは受け入れることが出来よう。個人的には終始面白く観ることができた。

 監督・脚本・編集はこれが長編処女作となる田中征爾。本作で第31回東京国際映画祭日本映画スプラッシュ部門で監督賞を受賞している。

 正直、演出に詰めの甘さを感じる所もあるのだが、それを補って余りある設定のユニークさ、登場人物の個性的な造形、そして先の読めない展開等、かなりの才気を感じさせる。

 最も笑ったのは、終盤で和彦が松本に説教を食らうシーンだった。その場のノリと勢いで和彦は松本の”ある提案”に賛同するのだが、それを松本にたしなめられる。いつもは弱気な和彦が珍しく強気になったところを、調子に乗るなと怒られるのだ。これが実に可笑しくて声を出して笑ってしまった。

 他にも、本作にはクスリとさせる笑いから、ブラックな笑い、シニカルな笑い等、様々な笑いどころが用意されている。いずれも爆笑とまではいかないが中々のセンスを感じさせる。

 おそらくこの話を普通に作ってしまえば実に陰惨で絶望的な映画になっていただろう。それを田中監督は、手を変え品を変え変幻自在に上手く笑いへと転嫁している。

 そもそも本作における人の死は虚無的であると同時に、松本らからすれば極めて事務的である。グロテスクさは封印され人の死に対する距離の取り方が傍観的だ。それは和彦の視座を通して描いているからであり、だからこそそこに日常の中の”非日常”、”ファンタジー”の世界が成立することになる。
 和彦はたびたび「どうしてこの人は殺されなければならないのか?」と松本に問うが、うやむやにされてしまう。人の死をこうも淡々と見せつけられると、もはや滑稽にすら思えてしまうのだ。

 笑いと怖さは表裏一体とはよく言うが、まさにこの映画はそうである。笑った後に少し考えて怖くなる…というタイプの作品で、それだけに観る人を選ぶ映画だと思う。

 そして、この映画は最後の最後に、和彦が幸福への活路を見出したところで終わっている。自分に自信を持てない哀れな青年が銭湯という小さなコミュニティ(職場)で様々なトラブルに巻き込まれながら成長していく…という、ある種の王道青春ドラマになっている。やや取ってつけたようなハッピーエンドに思えなくもないが、これが妙に清々しく微笑ましく感じられた。

 一方で、和彦と一緒にこの銭湯で働く松本は謎多き青年で、和彦とは正反対なキャラである。この対照的な二人が徐々に友情らしきもので結ばれていくのも青春ドラマの王道と言えよう。こちらも一定の抒情性を作品にもたらしている。

 このように本作は、青春の光と影をきちんと描くことで、単なるクライム・コメディという枠を超えた、実に味わい深い青春ドラマになっている。

 去年の「カメラを止めるな!」(2018日)以降、こうしたユニークな才能を持った若手監督が続々と出てきているが、田中征爾は紛れもなくその中の一人ということができよう。今後の活躍に注目していきたい。

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