女々しい復讐劇。しかし内容はハード!
「電撃脱走・地獄のターゲット」(1972英)
ジャンルアクション・ジャンルサスペンス
(あらすじ) 強盗殺人罪で服役中のハリーは、久しぶりに面会に来た妻パットから衝撃の告白をされる。別の男と浮気して妊娠したから離婚して欲しいと打ち明けられたのだ。逆上したハリーは、その場で暴れて懲罰房へ送られた。その後、ハリーは仲間のバーディとマク二ールと脱獄を実行する。そして、パットと相手の男に復讐を果たすべく一路、彼女の家へ向かう。
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(レビュー) 妻に裏切られた男の復讐をハードなタッチで描いたアクション・サスペンス。
本作の見どころは何といっても、ハリーを演じたオリヴァー・リードの熱演である。まさに復讐の鬼といった形相で復讐を実行していく様が圧巻で、こじんまりとしたストーリーながら全体的にはダレなく観ることができた。
特に、ラストの何とも言えぬ表情が素晴らしかった。復讐を果たした後に残る複雑な心境を絶妙な表情で表現している。愛に裏切られた孤独な男の哀愁がしっかりと感じられた。
ただ、先ほども言った通りストーリーは凡庸であまり褒められた出来ではない。マクニールの脱獄計画がご都合主義の連発だったり、その裏で繰り広げられる強盗の金を巡る追跡劇も余り必然性が感じられなかった。
しかしながら、ラストのどんでん返しだけは中々凄いものがある。まさかという展開で、正直これには驚かされた。
全体的に演出は雑な部分もある。ただ、ひとたびアクションシーンとなると、この荒々しさがかえって画面に迫力を与えているようなところがあり上手く奏功している。
例えば、冒頭の面会シーンにおけるラジカルなバイオレンス描写からして度肝を抜く迫力だ。他にも脱獄のスリリングな演出。朝焼けをバックに銃を撃つハリーを捉えたクライマックスシーンなどには痺れるような格好良さがあった。白バイからの逃走シーンはややヘンテコな演出だが、スタントマンの頑張りが認められる。
所々でパースを利かせた不穏なカメラワークもシーンに緊張感を与えていて良かった。
余り有名なスタッフは関わっていないB級作品だが、中々どうしてエッジを利かせたバイオレンスシーンは見応えがある。B級好きであれば一見の価値があろう。