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映画ありのまま

こんにちはorはじめまして、ありのと申します。 ここは見た映画について気ままにレビューを垂れ流すブログです。

君はひとりじゃない

2019.11.29(00:22)
霊的現象を交えたところがユニーク。

「君はひとりじゃない」(2015ポーランド)星3
ジャンル人間ドラマ・ジャンルサスペンス
(あらすじ)
 妻を亡くした検察官のヤヌシュは娘オルガと喪に服しながら暮らしていた。ある日、オルガが摂食障害を患い倒れてしまう。ヤヌシュは彼女を精神病院へ入院させることにした。そこにはセラピストのアンナがいた。彼女もまた赤ん坊を無くした孤独な女性だった。ヤヌシュはアンナと次第に交友していくのだが…。

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(レビュー)
 孤独な者同士が支えあいながら故人の死から立ち直っていく姿を、スピリチュアルな描写を交えながら描いた人間ドラマ。

 霊媒師アンナの存在が印象的で、彼女がいることでこの映画は随分と特異なドラマになっている。いわゆる喪の仕事を描くドラマではあるのだが、少し毛色の異なったスリラー映画的趣が増すようになる。

 例えば、ヤヌシュが妻の霊を感知するシーンが何度か登場してくる。部屋の電気が消えたり、音楽が突然なったり、ドアがひとりでに開いたり等。
 また、アンナは霊媒師なので、たびたび死者を目撃する。エレベータで遭遇する子供の幽霊や、自動車事故で亡くなったであろう女の幽霊等。ぱっと見は生きてる人間と何ら変わらない姿をしているのだが、彼らを見たアンナのリアクションを見れば分かる。それらは明らかに幽霊なのだ。

 こうした少しホラー映画的な演出が施されることによって不穏で異様なトーンが蔓延することになり、この作品は全体的にユニークな作りになっている。

 また、ヤヌシュは検察官という仕事柄、殺人現場や死体の記録をよく目にする。
 何しろ映画の冒頭は、彼が首吊り死体を発見するシーンから始まる。この他にも、トイレに遺棄された新生児の遺体や強盗殺人の被害者の死体等。直接的な映像表現は無いのだが結構グロテスクなエピソードが登場してくる。これらも映画に不気味さを与えている。

 無論こうした陰惨でオカルト的な演出やエピソードは、単に意味もなく出てくるわけではない。これらは非常に重要な意味を持っている。
 ヤヌシュたちが愛する人の死に囚われ続けていることを暗示しているのだ。さらに言えば、我々が住む現実世界は死と隣り合わせであることを表現しているのだ。

 そして、こうした”死”の匂いやトーンが続くことで、映画は最後に”生”というカタルシスを見事に呼び込むに至っている。愛する人の死を受け入れ新たな人生を闊歩するという希望に満ちたメッセージで感動的に締めくくられる。

 但し、このラストは自分には今一つ腑に落ちなかった点がある。
 まずアンヌが途中までいたのにラストカットでは姿が消えていた。これはどういう意味なのだろうか?

 そして、非常に感動的なラストシーンにも関わらず、かなりあっけない終わり方になっている。
 これで本当にヤヌシュとオルガは”死”から解放されて父娘の絆を取り戻すことができたのだろうか?もしかしたら一時の平穏でしかなく、二人の険悪な関係は今後も続くのではないか?そんな不安が残った。

 どっちに解釈しても良いという製作サイドの狙いなのだろうが、個人的には今一つ釈然としない思いが残り、少し勿体なく感じた。

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