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エスター

謎の少女を迎え入れた一家の恐怖を描いた戦慄のスリラー。

「エスター」(2009米)star4.gif
ジャンルホラー・ジャンルサスペンス
(あらすじ)
 流産という悲劇に見舞われた主婦ケイトは養子を迎えることを決意して地元の孤児院を訪れた。そこで聡明で大人びた一人の少女エスターに惹きつけられる。彼女を引き取って新しい生活を始めるが…。

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(レビュー)
 謎めいた少女を養子に迎え入れた家族の恐怖を描いたサスペンスホラー。

 ネタが分かってしまえばそういうことか~となってしまうが、そこに至るまでのストーリーテリングが絶妙で最後まで目が離せない映画だった。

 冒頭からかなりショッキングな幕開けで始まる。ホラー映画然としたハッタリがその後の展開を期待させる。

 続く前半は割と淡々とした作りで、ケイトと家族の紹介。そしてエスターを引き取る経緯がホームドラマ風にスケッチされていく。一見するとホラー映画らしからぬ和気あいあいとした雰囲気で進むが、本題はここからでエスターが家族の一員になったことで徐々に周囲に不穏な空気が生まれていくようになる。

 長男と長女の前でハトを殺して見せたり、公園で遊んでいた他の子どもを突き落としてケガさせたり、徐々にエスターの行動は狂気さを増していく。しかも、それらの凶行を知るものは長男と長女だけで、ケイトや彼女の夫は知らない。大人たちの前ではエスターは猫をかぶっているのだ。

 果たしてエスターの狙いは何なのか?それが徐々に子供たちの目線で解き明かされていくようになる。

 ネタバレ厳禁の映画なので、オチは言わないが、これにはなるほどと思った。超常現象やオカルトチックに安易に持って行かなかったところに好感を持った。

 尚、本作を観てA・ヒッチコックの「疑惑の影」(1943米)を連想した。あれも子供目線から描いた”侵入者”の謎解きスリラーだった。基本的な構成が本作に共通している。
 とはいえ、隙のないヒッチコックに比べると、今作は完成度という点では色々と綻びがある。そこは少々残念だった。

 例えば、長女は口がきけないという設定で、これはサスペンスを作る上手い設定で要所で盛り上げている。クライマックスの病院のシーンなどはその好例だろう。しかし、彼女は完全にエスターの言いなりである。いくら脅迫を受けていたところで、悪行の数々を両親に訴えれば一発でバレるはずなのに何故そうしなかったのか?ここは解せなかった。

 エスターが自らの腕を万力で骨折させるシーンは映像的にもかなりショッキングで大変良いが、しかしその後がいけない。腕を動かすだけでも痛いはずなのに、最後は格闘をしていた。

 夫がエスターを全然怪しまないのもどうかしている。

 …と色々と突っ込みどころは確かにある作品である。

 しかし、全体の不穏な雰囲気が壊されることなく端正に作られているし、何よりエスターという強烈なキャラクターが起こす凶行の数々が一瞬も飽きさせないので、スリラーとしてはかなり見ごたえのある作品になっていることは確かである。

 そして、何と言ってもキャストの好演が作品の魅力を支えている。
 エスターを演じた少女のどこか大人びたビジュアル。そして何を考えているのか分からない不敵さが絶品だった。
 彼女と最終的に対峙することになるケイト役のヴェラ・ファーミガの熱演も素晴らしかった。
[ 2019/12/09 23:22 ] ジャンルホラー | TB(0) | CM(0)

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