人気シリーズ第3弾は更にアクション性高め。
「スター・トレック BEYOND」(2016米)
ジャンルSF・ジャンルアクション
(あらすじ) 宇宙基地ヨークタウンに寄航したエンタープライズ号は、そこで未知の宇宙船に乗る女性からSOSのメッセージを受け取る。すぐさま救出へと向かったが、それは巧妙な罠でエンタープライズ号はクラールという異星人からの襲撃を受けてしまう。
ランキング参加中です。よろしければポチッとお願いします!


(レビュー) 往年の名作ドラマ「スタートレック」を新たにリイマジネーションした新シリーズ第3弾。
これまでシリーズを手掛けてきたJ・J・エイブラムスの手を離れて、新たなスタッフの元で製作された今作は、これまで以上にアクション性の高い娯楽作品に仕上がっている。ノリと勢いで突っ走った。そんな印象の作品である。
ただし、前半は往年の「スタートレック」シリーズを意識した異星探検物で、割ともっさりとしたテイストで進行する。かつてのテレビシリーズを観ていた人ならこれはきっとオマージュだと分かるだろう。しかし、現代のようなスピード重視のハリウッド映画を観慣れている者にとっては鈍重に映るかもしれない。実は、自分も少し退屈してしまった。
後半は惑星から脱出したクルーたちが敵の野望を打ち砕くべく、派手なアクションを繰り広げるようになる。ここからは一気に最後まで軽快に進み楽しく観れた。
特に、ビースティーボーイズの「サボタージュ」に乗って展開されるアクションはテンションが上がった。
監督はジャスティン・リン。これまでに「ワイルド・スピード」シリーズを主に手掛けてきた監督である。
中盤のバイクアクションなどを観ると「ワイルド・スピード」っぽさを感じる。そして、白眉はなんといっても後半の畳みかけるような怒涛のアクション・シーンのつるべ打ちである。終盤の無重力アクション等、これ自体今までに無かったわけではないが、VFXを効果的に使いながらスピーディー且つ迫力のある映像を創出している。
脚本は本作のスコット役で出演もしているサイモン・ペッグが共同で担当している。そもそもコメディ畑の人なので、当然今作にはふんだんにコメディ要素が盛り込まれている。
例えば、スポックとドクターのコンビのやり取り一つ取ってみてもクスリとさせられる。ある意味で「スタートレック」の一つの伝統芸能で、それをしっかり受け継いでいる。
序盤でスタートレックが不時着して機能停止に陥ってしまうのも意外性があって面白い展開だった。
一方で、今回は適役のクラールにあまり魅力が感じられなかったのは残念である。前作
「スター・トレック イン・トゥ・ダークネス」(2013米)でB・カンバーバッチが演じたジョン・ハリソンの存在感に比べると、どうしても物足りない。キャラクターの厚みが雲泥の差である。
なお、今作の公開直前にスポック役としてファンから親しまれてきたレナード・ニモイと、本作にチェコフ役で出演しているアントン・イェルチンが他界した。映画の最後に追悼のクレジット流れしみじみときた。