「ヒックとドラゴン2」(2014米)
ジャンルアニメ・ジャンルファンタジー・ジャンルアクション
(あらすじ) ドラゴンと人間が共存するバーク島では、賑やかなドラゴンレースが開催されていた。レースに参加しないヒックは、ドラゴンのトゥースに乗って地図にない場所を求め探検へ出かける。そこで巨大なドラゴンを操る集団に遭遇する。彼らはバーク島を狙っていると言うが…。
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(レビュー) バイキングの少年とドラゴンの友情を描いたファンタジー・アニメ
「ヒックとドラゴン」(2010米)の続編。
前作も傑作だったが、この続編も期待を裏切らぬ内容で中々面白い。
実は、この続編の前にテレビシリーズが作られているということを後で知った。自分は未見であるが、どうやら前作との間をつなぐエピソードになっているらしい。ただ、テレビを観ていなくても、すんなり今回のドラマに入り込むことができた。映画の第1作を観ておけば特に問題なく楽しむことができるように思う。
今回の話のメインとなるのはヒックの家族である。前作に続きヒックとトゥースの友情も描かれるが、それ以上にヒックと父、そして母との関係が大きく取り上げられている。特に、母親の登場は今回の新味だろう。
ただし、ドラマ的にもう少し捻りが欲しいという気はした。母親にもっと何か裏の秘密でもあるのではないかと想像したのだが、思いのほかシンプルである。一番物足りなかったのは、彼女が島を出て行った理由が今一つ説得力に欠けることである。一応、彼女自身の口から説明されているが、随分とアッサリとしている。観客に分かりやすいようにしたのかもしれないが、もう少し葛藤を掘り下げて欲しかった。
今回の適役はドラゴンを人間を服従させようとするドラゴというバイキングである。彼は巨大なドラゴン、ワイルダービーストを操ってバーク島に攻め入ってくる。ドラゴンに対して好戦的なドラゴ。ドラゴンと共存関係を保とうとするヒック。陰と陽にはっきりと分かれたクライマックスの戦いは映像的にも迫力十分で非常に面白く観ることができた。寛容と融和というテーマも普遍的で良い。
また、何かを得るためには何かを失うというのは前作の大きなトピックだったと思うが、今回もそのことは引き継がれている。ヒックはクライマックスの戦いで大切なモノを失ってしまう。前回同様、臆せず描いた製作サイドの勇気には拍手を送りたい。
もっとも、その悲しみを一気に吹き払うように陽気に締めくくるのには違和感を覚えたが…。なんだかカラ元気のような感じで今一つ乗り切れなかった。
ユーモアも前作同様、ふんだんに盛り込まれていて良かった。新キャラも良い味を出していたし、トゥースがヒックの前で見せる愛らしい表情も心和む。
映像も前作同様素晴らしかった。なんといっても本シリーズの見所と言えば飛翔シーンであろう。オープニングのドラゴンレースからしてアトラクションとしての迫力は十分。本作は残念ながらビデオスルーになってしまったが、できれば大きな画面でこの興奮を味わいたかった。おそらく3Dとの相性も抜群だろう。
特に、中盤でドラゴンの大軍を引き連れたヒックと母が飛翔するシーンは白眉の出来栄えである。まるでダンスでもしてるかのように母親がドラゴンからドラゴンへと優雅に飛び乗り、壮大なミュージカルシーンでも見てるかのような感動が味わえた。