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1917 命をかけた伝令

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「1917 命をかけた伝令」(2019米)star4.gif
ジャンル戦争・ジャンルアクション
(あらすじ)
 第一次世界大戦真っ只中の1917年。西部戦線ではドイツ軍の後退が始まり、イギリス軍はこれを好機と、追撃に乗り出そうとしていた。しかし、これはドイツ軍の罠だった。若い兵士スコフィールドとブレイクに、翌朝までに作戦中止の命令を届けるよう指令が下る。二人は早速、死屍累々と化した戦場へ足を踏み入れていくのだが…。

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(レビュー)
 作戦中止の伝令を届けるために過酷な戦場を駆け抜ける兵士たちの物語。

 何と言っても、本作の見所は映像である。疑似ワンショットで紡いで臨場感タップリに描いたカメラワークが素晴らしい。
 こうした全編1カットの撮影は、本作が初めてというわけではない。過去にはヒッチコックの「ロープ」(1948米)、オスカーも受賞したイニャリトゥの「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」(2014米)、若者の一夜の凶行をエネルギッシュに描いた「ヴィクトリア」(2015独)、悲劇の銃乱射事件を描いた実録劇「ウトヤ島、7月22日」(2018ノルウェー)等がある。この中で本当の意味での全編1カット撮影は「ヴィクトリア」だけであるが、その他はCGやトリック撮影で1カットに見せた、いわゆる疑似1カット映画であるし、「ウトヤ島~」は島に入ってからが1カット撮影である。
 観ていれば分かるのだが、本作も明らかに途中でカメラを切り替えている個所がある。昼間から夜に切り替わる場面などはそうである。したがって、全編1カットという宣伝文句は間違っている。
 しかし、だとしても戦場を舞台に多くのエキストラ(一説には500人とも言われている)を使った派手なアクションシーンを交えて描ているという点においては、比類なき疑似1カット映画になっていることは間違いない。他の作品とは比べ物にならないくらい多くの手間暇をかけた大作である。

 撮影監督はロジャー・ディーキンス。もはや説明要らずの名手であるが、2年前の「ブレードランナー2049」(2017米)に続き、本作で見事に2度目のアカデミー賞の撮影賞を受賞した。この他にも多くの賞を受賞している。
 ここまで計算されつくされたタイミングで大仕掛けの撮影を敢行した所が高く評価されたのだろう。納得の受賞である。

 物語は実にシンプルである。言ってしまえば、「走れメロス」のような命をかけたマラソンである。二人の若い兵士が出てきて戦場を駆け抜けるのだが、中盤でポイントとなる事件が起こり、そこからドラマが中々熱いものとなっていく。登場人物もスッキリしているし複雑なエピソードもないので素直に入り込める。

 ただ、主人公の一人スコフィールドは、中盤以降かなりヒロイックな活躍を見せている。敵の銃弾を掻い潜りながら逃走する姿は、あまりリアリティがあるとは言えない。映画としてのアクション的な面白みが無くなってしまうので、そうせざるを得ないというのは分かるが、もう少し抑え目な演出にしたほうが良かったのではないかと思う。

 しかし、そうはいってもスコフィールドは決してマッチョタイプのスーパーマンではない。どこにでもいる普通の青年で、むしろ戦場には不似合いなほど心優しい男で、逆にそれが仇となりピンチに陥ってしまうことがままある。そんな彼に観ているこちらは自然と共感を覚えてしまうのも事実で、ドラマの芯を成すには十分の造形である。

 監督、共同脚本はサム・メンデス。メンデスは元々舞台劇の演出家である。疑似1カットでリアルタイムで進行する映画に挑戦しようとしたのは、舞台劇を手掛けてきた彼ならではの一つの挑戦だったのだろう。そして、名手ディーキンスのおかげで、その賭けは見事に成功したと言える。

 切迫した状況が続くため演出は非常にタイトにまとめ上げられている。ただ、野花の画面配置やミルクの伏線と回収等、気を利かせた演出がそこかしこに見られ一定の味わいも感じられた。このあたりはベテラン監督ならではの面目躍如である。

 尚、映画の最後にメンデス監督の祖父への献辞が述べられている。彼は実際に西部戦線で伝令をしていたということで、本作のインスピレーションの元になっているということである。
[ 2020/02/15 15:04 ] ジャンル戦争 | TB(0) | CM(0)

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