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あゝ、荒野 後編

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「あゝ、荒野 後編」(2017日)star4.gif
ジャンル青春ドラマ・ジャンルスポーツ・ジャンルSF
(あらすじ)
 新次と健二はプロボクサーとしてそれぞれにデビューを飾る。しかし、二人の道は明暗を分けていく。新次は因縁の相手・裕二との対戦が決まり、トレーニングにも熱が入った。一方の健二は闘いの世界に中々馴染めず、新次との決別を決意する。

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(レビュー)
 寺山修司の原作を映画化した「あゝ荒野 前編」(2017日)の続編。

 物語は前作から直結する形で始まるのですんなりと入り混むことができた。
 新次と健二は、激しいトレーニングを経ていよいよプロデビューを果たす。しかし、野心を持った新次と野心を持たざる健二の運命は大きく変わってしまう。健二は思うように成績を残せず、新次との差を思い知らされ、ついに袂を分かつようになってしまう。あれほど仲の良かった二人が敵同士になってしまうのだ。この後編ではそんな二人の熱い戦いが描かれる。

 ただ、正直、前編ほどのストーリーの濃密さはなく、結局二人が対峙するという、ただそれだけのドラマになってしまっている。2時間半という長い上映時間のわりに中身が薄いと感じてしまった。

 第一に新次と裕二の戦いで一旦ボルテージを上げておきながら、その後にダラダラと話を続けるのがいただけない。
 確かに健二が新しいジムへ移籍するくだりは、彼の置手紙を新次が読むという展開で中々泣かせて良い。ただ、その後に二人が相まみえるまでの展開がもたつく。ここはそのまま一気に二人の決戦へ持って行った方が良かったのではないだろうか。はっきり言って間延びした感じを受けてしまった。

 そして、この間延び感の最大の原因になっているのが、前編でも書いた自殺防止サークルのエピソードである。これが展開を完全に弛緩させてしまっている。

 健二の憎悪の源である父親がいかなる人物かを証明するために、この自殺防止サークルのエピソードが必要なのはわかる。ドラマ的に全然意味がないとまでは言わない。しかし、そこは父親を中心に描けばいいわけであって、本筋に直接関係ないサークル内部のいざこざはこの際省略してしまっても一向に構わないのではないだろうか。それを後編まで引っ張る必要性が自分には全く分からなかった。

 クライマックスは新次と健二の戦いになる。予想していた通りの展開なので、特に驚きはしなかったが、ただこのシーンはまさに”死闘”と呼ぶにふさわしい白熱した内容に仕上がっていて引き込まれた。果たしてこれをボクシングと言っていいのかどうかは賛否が分かれるところであろうが、ここまで白熱した戦いを見せられると素直に感動してしまう。もはや”殺し合い”と言っても良いだろう。演者の熱演も素晴らしいし、演出にも熱がこもっていて、終始目が釘付けだった。

 エンディングも良い。間違いなくアンハッピーエンドなのだが、何とも言えぬ感動を覚えた。

 キャスト陣も前編に引き続き素晴らしかった。何と言っても、やはり菅田将暉の熱演が印象に残る。この粗野な魅力は、ここ最近の若手俳優ではピカ一ではないかと思う。ファンならずとも一見の価値があろう。
[ 2020/03/14 00:57 ] ジャンル青春ドラマ | TB(0) | CM(0)

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