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オルフェ


「オルフェ」(1949仏)星3
ジャンルファンタジー・ジャンルサスペンス
(あらすじ)
 詩人のオルフェは“詩人カフェ”で王女と呼ばれる女性と出会う。その時、カフェの目の前で詩人のセジェストがバイクにはねられ死亡した。王女はオルフェに手伝わせてセジェストの死体を自宅へと運んだ。すると死んだはずのセジェストは蘇り、王女の導きで鏡の中へ消えてしまった。オルフェはすっかり妖しいオルフェの虜になってしまう。妻ユリディスが待つ自宅に戻っても彼の心は虚ろであった。
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(レビュー)
 ギリシャ神話のオルフェウス伝説を、現代のフランスに置き換えて描いたシュールな幻想奇談。

 詩人であり劇作家であり映画監督でもあったジャン・コクトーの才能が存分に発揮された作品で、この摩訶不思議な世界観は今もって古びない新鮮さがある。

 尚、同じオルフェウス伝説をモチーフにした作品は過去に何本か見たことがある。共に現代のブラジルを舞台にした寓話で1959年に製作された「黒いオルフェ」(1959仏)と、1999年に製作された「オルフェ」(1999ブラジル)である。夫々にメロドラマ色の強い作品で、情熱的なサンバのリズムが印象的だった。

 それらに比べると本作はかなり幻想的な作りになっている。さすがはシュルレアリストの代表格であるコクトーの面目躍如といった所か。氏の資質がよく出ている。

 例えば、鏡を使ったトリック撮影やフィルムを逆回転させた撮影、多重露光による合成、光と影を強調したノワール・タッチなモノクロ映像、縦と横を横転させたトリッキーな建物のセット等、見所が尽きない。

 また、”鏡”の使い方も抜群だった。そもそも映画における”鏡”の意味合いは古今東西、様々な作家たちが独自の解釈の元に重要なアイテムとして利用してきた。ある時は心を写したり、ある時は別の世界へと誘ったり、映像的にも物語的にも特別な意味を持たされることが多い。

 本作では現世と死後の世界を繋ぐ出入り口として利用される。オルフェやセジェストはこの鏡を通って二つの世界を行ったり来たりする。これぞ”映画”ならではの醍醐味である。実際には不可能なことも映画の中では可能となる、ジョルジュ・メリエス的映画の原初的興奮が味わえる。

 アイテムと言えば、本作はラジオもユニークな使われ方をしていた。ラジオから謎の声が聞こえてくるのだが、オルフェはそれに影響されて詩を書く。一体どこから流れてくるのか分からないが(おそらく死後の世界からだと思うが)、このナンセンスなギャグは今もって古びていない。

 物語は、中盤ややダレるものの最後まで飽きなく観れた。ただ、現実世界におけるサブキャラがやや整理しきれていないのと、オルフェが現実の世界に戻ってからの終盤をもう少しスムーズに展開させて欲しかった。エンディングに至るまで、若干もたつくのが難である。

 それにしても、ここに登場する死神たちは妙に人間味に溢れていて憎めない。王女にしろ、彼女の運転手ウルトビーズにしろ、人間をあの世へ送る役目を負いながら、逆にその人間に恋をしてしまうのだから、何ともロマンチックである。王女はオルフェに、ウルトビーズはユリディスに惹かれていく。
 ラストの二人の顛末もロマンチズムの極みである。自らの愛を貫いた所に、もしかしたら人間よりも人間らしい死神だったのかもしれない…と切なくさせられた。
[ 2020/06/24 00:00 ] ジャンルファンタジー | TB(0) | CM(0)

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