「死霊館」(2014米)
ジャンルホラー
(あらすじ) 5人の娘を持つ家族がロードアイランド州の人里離れた一軒家に引っ越してくる。古めかしいがとても広いその館は一家にとって夢のマイホームだった。ところが、ある時から家の中で奇怪な現象が起こりはじめる。夫婦は心霊学者として著名なウォーレン夫妻に助けを求めるのだが…。
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(レビュー) 実在する著名な超常現象研究家エド&ロレーヌ・ウォーレン夫妻が1971年に体験した衝撃の事件を基に描いたオカルト・ホラー。
どこまでが実際にあったことなのか分からないが、ここに登場するアナベルの人形はオカルトマニアの間では有名な都市伝説だそうである。その話は映画の冒頭に出てくるが、確かにぞっとするような内容で、もしこれが事実ならかなり怖いと思った。
物語は、そんな前振りがあってから、今回恐怖の体験をする一家の姿から始まる。実に和気あいあいとした平和な風景が描かれるが、ある時から奇妙な怪現象に見舞われるようになる。
その怪現象とは、子供が寝ていると暗闇から誰かがじっとこちらを見ているとか、母親が子供たちと隠れんぼをすると誰もいないはずの箪笥がひとりでに開いてそこから手が出てきたりとか等々。日常の中に起こる不条理で奇怪な現象は、かなり怖い。
こうして一家は心霊学者として有名なウォーレン夫妻に相談し、映画後半は夫妻を中心とした悪魔払いの話になる。
映画前半はやや展開が水っぽいが、後半から展開がスピーディーになり、ウォーレン夫妻と悪霊の戦いがアクションとサスペンスで上手く盛り上げられている。
また、数多あるホラー映画のオマージュも見られ面白く観れる。
スピルバーグが製作した「ポルターガイスト」(1982米)や、オカルト映画の金字塔「エクソシスト」(1972米)、低予算ながら大ヒットを記録したモキュメンタリー「パラノーマル・アクティビティ」(2007米)、更にはJホラー的タッチなど、いたるところで恐怖を盛り上げる演出が施されている。
監督はジェームズ・ワン。アクションやホラー、サスペンス等、主にジャンル映画で高い演出力を発揮してきた作家だけに、今回も作品としての完成度は高い。
唯一これは要らないと思ったのは、箪笥の上の悪霊のシーンで、ここは全体の構成から言っても時期尚早。悪霊の姿を見せるのはもっと後半に取っておくべきだったのではないかと思えた。
個人的には同じワン監督のホラー作品
「インシディアス」(2010米)に比べたら、こちらの方が実際の事件のリアリティを追及している分、真摯に観ることができた。
キャストの熱演も画面に迫力をもたらしてよかったと思う。特に、母親役演じたリリ・テイラーの演技が素晴らしい。また、ウォーレン夫妻を演じたP・ウィルソンとヴェラ・ファーミガも好演している。
尚、本作は全米でスマッシュ・ヒットを飛ばし、以後続編が作り続けられている。