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ザ・ブルード/怒りのメタファー


「ザ・ブルード/怒りのメタファー」(1979カナダ)星3
ジャンルホラー・ジャンルサスペンス
(あらすじ)
 フランクは幼い娘キャンディと二人暮らし。母ノーラは精神疾患を患いラグラン博士の元で治療を受けていた。しかし、フランクはその療法に疑問を抱いていた。というのも、面会に行っていたキャンディの体に虐待の後が残っていたのだ。フランクはノーラが折檻しているのではないかと睨むのだが、ラグラン博士はこれを否定した。フランクは本格的に調査を開始するのだが…。
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(レビュー)
 得体の知れぬ怪物に襲われながら精神科医の恐るべき計画に迫っていく戦慄のホラー。

 監督、脚本はD・クローネンバーグ。流石に鬼才ということもあり、中々斬新なホラー映画である。

 言ってしまえば、本作はタイトルにもある通り人の”怒り”がモチーフとなっている。この”怒り”はノーラの”怒り”であり、その原点は彼女の過去にまで遡る。
 その秘密は彼女の両親の登場によって序盤で早々に想像できるのだが、だからといって退屈するというわけではない。怪物の影をちらつかせながら上手くストーリーを組み立てており、このあたりの上手さにクローネバーグの才覚が伺える。

 また、単なるモンスター映画だけで終わらせるのではなく、怪物の誕生にノーラの意識を介入させた所にアイディアの妙が感じられる。これもいかにもクローネンバーグらしい所で、「ビデオドローム」(1982カナダ)、「裸のランチ」(1991カナダ英)、「イグジステンス」(1999カナダ英)等、後に肉体と精神のグロテスクな融合を追及した彼の素養が見て取れる。彼のフィルモグラフィーを語る上では、本作は外せないだろう。

 演出は実に端正にまとめられている。ただ、後の独特な美的感性はまだそれほど強く出ているわけではない。氏らしいエロティズムとグロテスクの混在も、終盤のノーラの異形の姿に見られるが、低予算の映画なので派手さはない。逆に、この1点集中な”見せ場”に賭けた作りはプロの芸当とも言える。正直、怪物の造形自体はそれほど恐ろしくはない。一番恐ろしかったのはこの時のノーラの姿だった。

 キャストでは、ノーラを演じたサマンサ・エッガーの怪演が印象に残った。精神疾患者という役で、終始目を見開いたエキセントリックな演技が続く。彼女の代表作と言えば、W・ワイラーの傑作「コレクター」(1965米)が思い出されるが、本作の演技も中々のものである。
[ 2020/08/02 00:35 ] ジャンルホラー | TB(0) | CM(0)

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