「真夜中の処刑ゲーム」(1982米)
ジャンルアクション・ジャンルサスペンス
(あらすじ) 警官がストライキに突入した夜。無法地帯と化した街に“ニューオーダー”と称する自警団が出現し、ゲイバーを襲撃する。彼らは次々に客と店員を殺し始めた。たった一人、隙を見て逃げた青年がアパートの一室に助けを求めるのだが…。
ランキング参加中です。よろしければポチッとお願いします!


(レビュー) 警察がストライキに突入した夜の街で、自警団を称してゲイを処刑する殺人集団と、唯一逃げ延びたゲイの青年を匿う若者たちの壮絶な戦いをスリリングに描いたスアクション映画。
低予算のB級映画ながら、スピード感と緊張感みなぎる演出がすこぶる快調で最後まで面白く観ることができた。
物語はたった一夜の出来事であり、ドラマ的にはそれほど目を見張るものはない。ただ、ラストのオチが捻りが効いてて良い。
一方、本作はアクションの見せ場に関しては事欠かない。
何と言っても、銃を持った自警団を迎え撃つアパートの住人達の知恵を絞った戦い方がゲーム感覚で面白く観れる。
例えば、アーチェリーを改造して凶器にしたり、侵入を防ぐためにドアにトラップを仕掛けたり、どうしてそんなものを持っていたのか分からないが釘や画鋲で小型爆弾まで作ってしまう。こうした手製の武器が良い味を出している。
また、キャラクターもそれぞれに魅力的に描けている。
ゲイの青年が逃げ込むアパートには5人の若者たちが籠城する。気の優しい兄貴分なホレイショ、彼の恋人バーバラ、理系派で何でも武器を作ってしまう者、異様に聴覚が優れた盲目の青年等。
対する自警団のメンバーも、血の気の多い者からちょっと臆病な者まで、しっかりとキャラの色分けされている。中でもリーダーのケイブは冷酷無比で一際印象に残った。サイレンサーの銃でゲイバーの客を淡々と撃ち殺していくシーンの異様さが強烈なインパクト残す。
ただ、本作は厳しい眼で見てしまうと色々と突っ込み所が散見され、完成度という点では決して高いわけではない。
例えば、アパートの階下に住む中年男の扱いなどは失笑物であるし、あれだけ派手なドンパチをしているのに周辺の住人はまったく登場しないというのも不自然である。
監督、脚本はポール・ドノヴァン。フィルモグラフィーを見ると、どうやら主にB級映画を撮っている監督のようである。代表作と呼べるようなものはないが、最近までテレビシリーズの演出やプロデュースをしていたので腕はあるのだろう。この映画しか観てないが、サスペンス演出に限って言えば非常に見せ方が上手い。ホレイショの部屋と隣の部屋を繋げる小窓の使い方などは秀逸だと思った。
尚、本作を観てJ・カーペンター監督の「要塞警察」(1976米)を思い出した。あちらも同じようなシチュエーションの籠城モノだった。そちらも傑作である。