「ハードコア」(2016ロシア米)
ジャンルSF・ジャンルアクション
(あらすじ) 見知らぬ研究室で目を覚ました男ヘンリーは、彼の妻だと名乗るエステルによって死にかけていた体をサイボーグに改造されて蘇生した。その直後、謎の男エイカン率いる武装集団に襲われ、エステルを誘拐されしまう。ジミーという男に窮地を救われたヘンリーは、彼の協力を得てエステル救出へ向かうのだが…。
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(レビュー) サイボーグの体に改造された男が、謎の集団の陰謀に巻き込まれながら壮絶な戦いを繰り広げていくSFアクション映画。
POV形式の映画も一時の流行りに比べたら大分すたれた感じがするが、やりようによってはまだまだ新鮮に観れるものである。本作は全編にわたって主人公ヘンリーの一人称で進むPOV形式の作品である。
ゲームで言えばFPSゲームに近い感じと言えばいいだろうか。目の前に現れた敵を次々と銃や格闘術で倒していく。カメラが縦横無尽に動き回るので、人によっては画面に酔うかもしれない。
何と言っても、見どころはこの革新的な映像である。一体どうやって撮影したの?と驚かされることしきりである。
例えば、ビルからロープをつたって歩いたり、走る車から別の車に飛び移ったり、飛んでるヘリからダイブしたり等々。
何せ主人公は不死身のサイボーグなので、普通の人間ではできないアクションを軽々とやってのける。基本的にスタントマンが頭に小型カメラを取り付けてアクションしているのだろうが、一部ではリアルでは不可能と思える映像も出てくる。おそらくかなりCGは使われているのだろう。
ただ、逆に言うと、ヘンリーが無敵すぎるため、アクションシーンにおけるスリリングさは余り感じられない。
一方、ストーリーはあるにはあるが、至極簡素である。エイカンの陰謀もこの手の作品ではお約束的な物であるし、エステルの裏切りも想定内だった。
唯一、途中から登場するジミーの存在は少し意外性があって面白かった。実は彼はコピー人間で、他にも様々なジミーが登場してくる。彼を操るオリジナルの正体は後半に明かされるが、そのバックボーンが作中で最もドラマが効いていたように思う。
アクションシーンは、強烈な人体損壊描写もあるので好き嫌いが別れそうである。ただ、スピード感あふれる映像が貫通されているため気になるほどではなかった。
監督はロシアのパンクバンドのフロントマンということらしい。処女作らしいので色々と粗い部分もあるが、何をやりたいのか、目的がはっきりしているのが良い。
ただ、こういうスタイルは一発狙いならともかく二度目は厳しいだろう。監督としての力量は次の作品で試されそうな気がする。